【野球】巨人・内海、自分を変えてくれた「杉内の言葉」
巨人のベテラン左腕、内海哲也投手(36)は、ここ数年は不振続きだったが、今季は途中からローテの一角を担い、安定した投球を披露している。復肩への道を進むかつてのエースが明かした、自分を変えてくれた言葉とは-。
「36歳の一人の何もないプロ野球選手として挑もう」と心に誓った左腕が“まだ終わっていない”とばかりの投球でローテの一角を死守している。5月10日・阪神戦で今季1軍初登板し、以降4試合に先発。防御率1・93と結果を残し、輝きを取り戻しつつある。
復肩への階段を上る過程で胸に深く刻まれた言葉がある。「過去の栄光は生ゴミと一緒」。声の主は股関節手術から3年ぶりの1軍登板を目指す、同じ左腕の杉内だった。「杉さんは投げたいのにケガをして投げられない時でも後ろを振り向かない。何を(自分は)そんなに悩んでたんやろう」。杉内の言葉は内海の考えに変化をもたらした。
ここ数年、故障や不振で満足のいく投球ができずに過ごした。2軍にいる時間が増え「正直、何でこんなところ(2軍)にいるんやろう」と悩んだ。
2軍には実績十分な選手もいた。「落ち込んでいる時に良かった頃のこととかを話したりする」とベテラン同士で全盛期の投球や成績を振り返ることが多かったという。杉内が「過去の栄光は-」という言葉を発したのはこの時だった。当時、現状をマイナスにしか捉えていなかった男に重く突き刺さった。
侍ジャパン、そして巨人でチームメートとして戦い、時を同じくして栄光を味わった男の鋭い“指摘”。以来、「一試合一試合が勝負。目の前の任された試合にいかに100%で臨めるか」と前向きな気持ちを胸に投げ続けてきた。
だからこそ、好調を維持していても満足することはない。「ファームで皆が結果を残しているし、毎試合危機感しかないですよ」。もうエースとしての過去の栄光を振り返ることはない。「新たな気持ち」で野球に向かい、チームを勝利に導くために、全力で腕を振り抜くだけだ。(デイリースポーツ・関谷文哉)