【野球】広島新庄、2年ぶりの夏甲子園へ 162センチのエース竹辺が腕振り抜く
「第100回全国高等学校野球選手権広島大会」が、7月7日にマツダスタジアムで開幕する。今年は91校、88チームが参加。甲子園出場を目指し11日間の熱戦が繰り広げられる。優勝候補の筆頭は、春季中国大会で初優勝した広島新庄だ。投打で充実したメンバーがそろい2年ぶりの頂点を目指す。
エースの竹辺聖悟投手(3年)は身長162センチ、体重63キロと小柄な体格ながら最速145キロの直球が武器の本格派だ。強豪校の背番号「1」を背負い「自分たちの力で絶対に甲子園に行きたい」と力を込めた。
左足を高く上げ体を最大限に使って投げ込むフォームが最大の特徴。その姿は「ライアン小川」の愛称で親しまれるヤクルト小川をほうふつとさせる。小川も身長は171センチ。「体が大きくないので、全身を使った投げ方がないか考えてたどり着きました」。1年秋にさまざま投手のフォームをインターネットで見て試行錯誤した。
オーソドックスなフォームだった入学時から比べ、球速は10キロ以上も速くなった。加えて腕の角度が横手投げ気味なため、右打者は体の近くから球が放たれる恐怖心がある。迫田守昭監督(72)は「制球も良いし、右バッターはそう簡単に打てるものではない」と信頼を寄せた。
広島新庄がある北広島町に隣接する安芸高田市美土里町出身。小学生のとき田口(現巨人)の投球を見て同校に憧れた。小学、中学時代に全国大会出場などの輝かしい経歴はない。「新庄で甲子園を目指したい」。努力の積み重ねによりエースの座をつかみ取った。
チームは13年から昨年まで5年連続で決勝に進出。昨夏は決勝で広陵に敗れ3連覇を逃した。竹辺は大一番でも登板し、悔しさを味わったメンバーの1人だ。だからこそ今夏に掛ける思いは強い。
「去年の秋から1番を付けさせてもらってうれしさがある反面、しっかり投げなければいけない責任がある。思い切り腕を振り抜きたい」。見据えるのはただ1つ。自慢の直球を武器に、2年ぶりの頂点へ突っ走る。(デイリースポーツ・市尻達拡)