【野球】仙台育英、新体制で再スタート 19日に夏初戦
昨年12月に元部員らの飲酒、喫煙が発覚し、6月4日まで半年間の対外試合禁止処分を受けていた仙台育英が、須江航監督(35)の下、19日の2回戦・気仙沼向洋戦で再スタートを切る。
引責辞任した佐々木前監督の後を受けた須江監督は、仙台育英OB。高校時代は2年時に学生コーチとなり、3年だった01年センバツは、マネジャーとして準優勝に貢献した。
八戸大(現八戸学院大)を経て、仙台育英の系列である秀光中学校の軟式野球部監督に就任。14年の全日本中学軟式野球大会では西巻賢二(楽天)を中心に全国制覇を果たした実績を持つ。
昨年12月。就任会見を行うと、その足で室内練習場へ向かって選手と初対面した。その後、12月いっぱいは個人面談で選手の思いを聞き取り、新しいルール作りにあてた。
今年1月1日付けで就任。春夏通算38度の甲子園出場を誇る名門の再建にあたり、生活面を正すことから始めた。
「部の活動理念として、地域の皆さまと勝敗というものを超えて、感動を分かち合おうということを掲げました。『地域の文化になろう』と伝えました」
除雪作業を手伝い、120人が献血に行ったこともあった。2月に台湾で地震が発生した際は、自発的に選手が募金活動を行った。
さまざまな活動に対して、学校へ感謝の手紙や電話があったという。6月5日の練習試合解禁後は地元の人の差し入れや、子供が試合を見学することが増えた。
自然とチームの雰囲気も変わってきた。須江監督は「選手は支えてもらっていることのありがたさを学んだと思います。以前は『地元の恥』みたいなところがあったけど、選手は認めてもらえたことに喜びを感じていると思います」。同じ方向を向いて戦える現状に手応えを口にした。
新体制で初の公式戦となる今夏の宮城大会に向けては、昨年12月の段階で選手に明確なベンチ入りメンバーの決定基準を伝えた。
昨秋までの実績はすべてリセット。今年3~4月は100試合以上の紅白戦を行った。その後、5月から6月3日までは紅白戦の成績を基に、選手を振り分けた4チームでリーグ戦を実施。各チーム15試合を戦い、優勝チームの選手が、今夏の宮城大会でベンチ入りしている。
「(紅白戦、リーグ戦は)公式戦以上の緊張感があったと思っています。ワンプレーの重要性を感じた選手は明らかに変わりましたから」。就任からわずか半年でも体制は整った。須江監督が率いる新生・仙台育英がいよいよベールを脱ぐ。(デイリースポーツ・西岡 誠)