【スポーツ】日本サッカー界に問われる育成部門の充実
4年に一度の祭典であるサッカーW杯は、フランスが自国開催だった1998年以来、2度目の制覇を遂げて閉幕となった。決勝のクロアチア戦でもゴールを決めたフランスの19歳、エムバペは大会のヤングプレーヤー賞にも選出。若いフランスの象徴となった。2大会ぶりの16強進出となった日本は、大会前から平均年齢の高さが指摘された。この成果を次の世代につなげていくことが重要になってくる。
ロシア大会中、日本がベースキャンプ地として使用したカザンの強豪・ルビンの施設は広大だった。複数のピッチに十分なほどの宿泊施設も併設。A代表の調整と共に行われたのが、東京五輪世代であるU-19(19歳以下)代表の遠征だった。若武者たちは地元クラブチームと練習試合を行うだけではなく、W杯を戦うA代表の隣のピッチで練習、時にはコンディション調整を目的下練習試合の相手も務めた。サランスクで行われたコロンビア戦と、セネガル戦(エカテリンブルク)も観戦。さらにはキャンプ地であるカザンで行われたスペイン-イラン戦もスタンドで見るなど、最高峰の戦いを間近で体感した。
貴重な体験にもなっただけに協会関係者も「こうした施設が整った環境であれば、今後のW杯でも継続的に世代別代表を派遣していきたい」と話す。2002年の日韓大会では、福島のJヴィレッジでキャンプを張ったアルゼンチン代表も世代別代表を派遣。後に世界的プレーヤーとなるメッシ(バルセロナ)もA代表の背中を見ながら、4年に一度の祭典を体感している。
国内のJリーグではW杯での中断期間も終了し、J1が再開された。神戸にロシアW杯でもプレーしたイニエスタ、鳥栖にフェルナンドトーレス(共にスペイン)が加入するなど、未来を担う選手たちが“本物”を実際に見る機会は増えている。2年後に東京五輪が迫っているというだけではなく、育成部門の充実は今後も問われる続ける課題の一つ。世界を身近に感じられる強化策を継続していくことが、日本サッカーがさらなる高みを目指す上では必要となってくる。(デイリースポーツ・松落大樹)