【野球】侍ジャパン稲葉監督が、2020年東京五輪でメジャーリーガーの招集を諦めない理由
2020年7月に開幕する東京五輪まで2年を切った。野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督は、悲願の金メダル獲得を目指す中、メンバーの青写真を描き始めている。
「現段階の構想はある程度、持ってます。横一線ではなく、ある程度、自分の中でこういう選手でこういう打順で、そういうものは持っている。2年後でどうなるかは、分からないです」。先発陣、守護神などの投手陣、野手陣ではスタメンのオーダー…。強力な侍軍団を作るための構想を練っている。
「メジャーリーガーが入ってくれたらいいですよね。ピッチャーもたくさん(アメリカに)行ってますし。大谷選手も二刀流でいますし。入ってくれたら強いチーム」。大リーグを見渡せば、先発陣ではダルビッシュ有投手(カブス)、田中将大投手(ヤンキース)らそうそうたる顔ぶれがそろう。そして二刀流・大谷翔平(エンゼルス)もいる。
侍の将は、日本人メジャーリーガーの招集を諦めていない。現実的には大リーガーの東京五輪出場が、難しいことも十分に把握している。それでも望みを捨てないのは、戦力を強化したいという理由だけではない、と記者は感じている。
稲葉監督には鮮烈な記憶として残っている。原辰徳監督のもと世界一を成し遂げた2009年のWBC。その大会の日本代表メンバーには、イチロー外野手(当時マリナーズ)を筆頭に松坂大輔投手(同レッドソックス)、城島健司捕手(同マリナーズ)ら大リーガーがそろっていた。
選手として09年WBCに出場した稲葉監督は、当時をこう振り返る。
「(日本人メジャーリーガーの)彼らが(日本代表の)選手をまとめてくれた。特にイチロー選手は、いろんな選手とたくさんコミュニケーションを取って、やってくれた。そういう選手が1人でも2人でも多くいてくれるとチームはまとまる」
日本人メジャーリーガーたちが、09年WBCでリーダーの役割を果たした。NPB球団に在籍する選手にとって、日本人の大リーガーは憧れの存在。“カリスマ”が先頭に立ち、日本代表のまとめ役を務める。それこそが頂点をつかむ近道、というわけだ。09年WBCの再現を狙っているとも言える。
「オールジャパンで臨みたい。2009年のWBCはメジャーの選手がたくさん来てくれて、日本で頑張っている選手の憧れ、目標になっていた。ドリームチームを皆さんが望んでいると思う。最後の最後までそういう思いを持ち続けて、やっていきたい」と稲葉監督。ギリギリまで大リーガー招集の可能性を模索する。そして“最強軍団”を結成して、世界の頂を目指す。(デイリースポーツ・伊藤玄門)