【野球】広島・西川龍馬、甲子園の思い出「勝ち負けより楽しんで」弟・剣之介にエールも
高校野球の地方大会真っ盛りだ。第100回全国高校野球選手権大会(甲子園)は8月5日に開幕する。平成最後の「夏の甲子園」を前に広島・西川龍馬内野手(23)が敦賀気比(福井)で過ごした3年間を振り返った。
大阪で育った小、中学時代に続いて、名門・敦賀気比でも西川は主将を任された。2年秋、同校の前評判は「史上最弱」と言われるほど低かったが、試合を重ねるごとにチームは結束。福井大会を勝ち抜き、北信越大会に駒を進めた。
「3番・ショート」の西川も打ちまくっていた。準決勝の福井工大福井戦では先制、中押し、ダメ押しの大活躍。センバツ大会の切符をつかみ取り、3年春に初めて聖地のグラウンドに立った。
「甲子園はすごい、広いなと思いました。まさか行けると思っていなかったので。試合をやるにつれてみんながレベルアップした。甲子園では勝ち負けよりも楽しんで、雰囲気を味わいました」
センバツでは1回戦で埼玉代表・浦和学院と対戦した。初めて打席に立った時は「ポール際を狙ったら入るかな」と心の余裕も。だが「ホームランを狙うと(ボールを)見てしまった」と、持ち味のバットコントロールが影を潜め、3打数無安打に終わった。2-11の大敗も「夏勝てばいいかな」。黒土も持ち帰らなかったという。
最後の夏は同級生の菅原(楽天)擁する福井工大福井に返り討ちに遭い、甲子園出場の夢は断たれた。それでも大阪を離れ、福井で過ごした3年間はかけがえのない財産だ。
「この人、すげーなと思いました。人をすごいと思ったのは初めてかな。中学の時はいなかった。高校に行ってあの人のバッティングを見てすごいなと」
今でもそう興奮気味に振り返るのは1学年上の吉田尚(オリックス)の打撃を目の当たりにした時だ。上には上がいると思い知らされた。最後の夏を終えて、力不足を痛感。「大人の球を見てからでもいいかな」。高校卒業後は社会人・王子へ進むことを決めた。
今夏、敦賀気比は福井大会を勝ち抜き、3年ぶり8回目の甲子園切符をつかんだ。3年・剣之介は弟。西川は「ちょこちょこ(結果は)見ていましたよ。うれしいです。弟も出ているのでね」とにっこり。今夏は母校の快進撃と共に、弟の奮闘も励みとなりそうだ。
(デイリースポーツ・杉原史恭)