【スポーツ】女子プロレス界の“リアルタイガーマスク” 引退後は「覆面社長」に

 みなさんは、1960年代から70年代にかけて、全国の少年少女、プロレスファンを魅了したプロレス漫画「タイガーマスク」をご存じだろうか?施設出身の主人公・伊達直人が謎のマスクマンとなってリングに上がり、ファイトマネーの一部を施設に送り続けるという物語。実は女子プロレス界には“リアルタイガーマスク”“リアル伊達直人”がいる。身長147センチ、体重45キロという小柄の体ながら、華麗な空中殺法、関節技を武器に女子プロレス団体PURE-Jで活躍するコマンド・ボリショイ(年齢不詳)である。

 ボリショイは大阪市淀川区十三の児童養護施設「博愛社」出身だ。「早く自立したい」との思いが強く、小さい頃から空手を習っていたこともあり、中学を卒業後、マスクをかぶり、女子プロレスラーの道を歩み始めた。

 現在も年に何度かは「博愛社」を訪問し、子どもたちとふれ合い、試合にも招待することを忘れない。また、ダイドードリンコとタイアップして「ピュアドリーム募金」を創設。自販機や「ピコウォーター」の販売を通じて売り上げの一部を施設に寄付している。

 そのボリショイが11日、後楽園ホールでの興業で来年4月での引退を発表した。引退の引き金となったのは11年11月に発症し、手術を受けた難病「黄色靱帯骨化症」の影響である。この疾患は骨化した脊椎の後方にある黄色靱帯が脊髄を圧迫することで、下肢にしびれや脱力をもたらすもの。現在もその後遺症があり、年々本来の動きをすることが難しくなっていたからだ。

 だが、引退後も暇になるわけではなく、これまで以上に忙しい生活が待っている。「現役レスラーは引退しますが、まだまだやりたいことがたくさんある」とボリショイはいう。現在は、レスラーとPURE-Jの団体運営会社である「株式会社PURE DREAM」代表取締役との兼務だが、引退後は“覆面社長”として、会社の運営、選手のスカウト・育成などに力を注ぐことになる。

 また「晴れのち曇り」などのCDを何枚か製作しており、ミュージシャンとして月に1~2回のライブ活動を行っていたが、それを「音楽活動は好きなので」とさらに発展させる考えもある。ボディビル・フィジーク・ビキニコンテストを主としたフィットネスアスリート団体NPCJが開催する大会に定期的に参加するなどボディービルダーとしても活躍するが、それも継続してつもりだ。

 漫画「タイガーマスク」は主人公の交通事故で終わるが、“リアル伊達直人”ボリショイの生き方はまだまだ広がっていく。(デイリースポーツ・今野良彦)

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