【野球】カープ3連覇のキーマンはポイントゲッターより理想のチャンスメーカー
広島・野間峻祥外野手(25)が10日の巨人戦(マツダ)から5番に座っている。数多くの得点機を作り出す攻撃を目指す中、俊足で打撃面でも今季急成長を見せる野間の存在は不可欠。今後、シーズン終盤に向けて打順は固定される見込みで、「5番・野間」がキーマンとなりそうだ。
5番といえば4番の後ろを打ち、一般的に長打自慢でポイントゲッターというイメージが強いが、カープでは少し事情が違う。リーグ連覇した昨季の安部のように、俊足巧打の選手が座ることもある。「つなぎの打線」を掲げる中、足を絡めて多くの得点機を生み出すためだ。迎打撃コーチは「5番・野間」の狙いについてこう明かす。
「(4番と6番の)間に足のある選手を挟みたい。一、二塁ではなく、一、三塁の形を作ることができれば得点機が増える。5番に野間が入ることで足を使った攻撃ができる」
10日・巨人戦(マツダ)では理想的な5番の働きを見せた。1点リードの四回1死一塁、野間が右前打を放って一、三塁に好機を拡大すると、続く6番・松山の右前適時打で三塁まで進塁。再び、一、三塁の形を作り、7番・西川の右前適時打で生還した。
3点リードの六回も5番・野間の魅力が発揮された。先頭で中前打を放つと、松山の右前打で三塁へ。またしても一、三塁の形を作り、西川の左前適時打を呼び込んだ。この試合、野間は2安打2得点をマーク。ベンチの狙い通り、安打を記録したイニングはいずれも得点に結びついた。
野間はプロ4年目の今季、めざましい飛躍を遂げている。規定打席にこそ達していないものの、ここまで82試合に出場し、打率・306、4本塁打、32打点、10盗塁。左投手も苦にせず打率・286を残し、打率・315の対右投手と遜色のない数字を残している。左翼守備も安定しており、代走や守備固めを必要としない。ベンチの戦力を効果的に使えるという点でも、チームにとって欠かせない存在となった。
今後は相手の先発によって、バティスタらが5番に入ることもあるが、迎コーチは「ベースは野間が5番。しっかり対応してくれている」と話す。シーズン終盤に向けて打順は固定される方針。今季一番の成長株・野間の働きが、リーグ3連覇から、CS突破、日本一を目指す戦いの鍵を握りそうだ。(デイリースポーツ・杉原史恭)