【野球】最多勝狙うカープ大瀬良が大事にするマスコットバットの送り主は…
8月23日の練習後、マツダスタジアムの一塁側ベンチに1本のマスコットバットが置かれていた。ピンク色で塗られ、ヘッド付近には「Maeken」の文字。さらに、当時雨男だった前田健太(現ドジャース)が登板日に晴れてほしいとの思いを込めた、てるてる坊主が描かれていた。懐かしさを感じていると、そこに広島・大瀬良らが走ってきた。「ロッカーに持って行くのを忘れていました」。苦笑いして汗をぬぐい、大事そうに手に取った。
入団2年目の15年に前田におねだりしてもらったものだ。当時は斬新だったピンク色と「マエケンさんの名前」にひかれたという。
「以前はキャンプのときとかによく使っていました」。現在は普段、ロッカーの上に大事に保管している。「気分転換に使ってみようかな」。ふと思い立ち、久しぶりにバント練習やフリー打撃で使った。もらった当時よりも「バットに当たる確率が高くなってきたと思います」。投球と同時に打撃面での成長を実感している。先発した25日は、その効果?が出たのか、1安打1打点。通算では7安打8打点になった。
今季開幕を前に掲げた目標は、5安打5打点だった。開幕直後はロッカーで岡田と中村祐が打撃談義に花を咲かせているのを耳にし、バッティング意欲をかき立てられた。1本の安打や送りバントが自らを助け、仮に安打が出なくてもファウルで粘ることが結果的に勝利につながることもある。今季はバットのグリップに柔らかいテープをぐるぐる巻いて、手への衝撃を少なくするなどしてより力強くバットを振っている。
「1本でも多く打ちたいと思っています」。マエケンのように打撃でも妥協はしない。(デイリースポーツ・市尻達拡)