【スポーツ】“元祖アイドルレスラー”井上貴子、写真集で芽生えた自覚
“元祖アイドルレスラー”井上貴子(48)が10月2日にデビュー30周年大会「己を磨く!女は輝く!」を東京ドームシティホールで開催する。26日はLLPW-Xの神取忍(53)とともに東京・木場のデイリースポーツを訪れ、大会をPRした。
デビューは全日本女子プロレス時代の1988年10月10日、後楽園大会で同期の井上京子が相手だった。新人時代は「何年かたったら辞めるんだろうな」と漠然と思っていたという。京子と第100代WWWA世界タッグ王座を保持した95年ごろ、「40歳までやる」と公言したことはあったが、「マスコミ向けでした。その通過点も過ぎて(さらに)8年も続けている。30周年は本当、あっという間でした」と笑った。
一度も引退していないレスラーが30周年を迎えるのは、京子と並んで史上9、10人目。なぜ48歳になってもリングに立ち続けていられるのか。
貴子は「メンテナンス」という言葉を口にした。激しい戦いにケガは付きもの。いかにコンディションを維持して試合に出続けるか。「プロレスラーには引退とかの区切りがあまりない。ケガをして続けられなくなることはあるけど、(逆に言えば)メンテナンスさえできていれば続けられる」。
リングに立ち続けるため節制など努力は惜しまなかった。「プライベートな時間とか、いろんなことを犠牲にしてきました」とポツリ。ストイックに自分を磨き続けられた原動力は「プロレスが好き」という情熱だった。
91年にCD、ビデオを発売し、92年には写真集第1弾を発売した元祖アイドルレスラー。そんな芸能活動の経験も、自覚を芽生えさせた。
「小娘のために、いろんな大人(ビデオ、写真集などの撮影スタッフ)たちが、汗をかいたり走ったりしていた。そこで『自分がすごく頑張らないといけないな』と気づけたのはよかった」
裏方や周囲に報いるためにも、スポットライトを浴びるレスラーは輝かなければならない。
今大会のタイトルは「己を磨く!女は輝く!」。貴子をそばで見続ける神取は「妥協することがない。この『磨く』という言葉がピッタリきますね。年齢とともに妥協していくことが多くなる中で、今を維持し続けている」と明かす。アラフィフになっても“美魔女”の魅力を漂わせるのも、己を磨くメンテナンス力と無縁ではないだろう。
10・2デビュー30周年では神取、井上京子、堀田祐美子の盟友とレジェンド軍を組み、次世代軍のチェリー、中森華子、雪妃真矢、安納サオリと8人タッグで激突する。「テーマは『伝える』。(次世代軍には)30年やってきたことのカケラでも受け継いでもらって、この先の4人のプロレスに生かしてほしい」。
今後は「女子プロレスというカテゴリーがなくならないように活動していきたい」と試合数は多少、控えていくという。「でも何年かして『あの人は今』みたいに、突然取材が来てもいいように、自分を磨き続けたいですね」。己を磨き続け、まだまだ輝き続ける。(デイリースポーツ・松森茂行)