【スポーツ】日本人2人目の9秒台はもう目前 運命の地は再び福井!?
日本人2人目の9秒台が、もう間近に迫っている。陸上男子100メートルで、アジア大会銅メダリストの山県亮太(26)=セイコー=が、10月6日の福井国体で今季最終戦を迎える。アジア大会では、反発をもらいにくい柔らかなトラックにも関わらず、自身2度目となる10秒00(追い風0・8メートル)をマークした。9月の全日本実業団では、日本記録保持者の桐生祥秀らを問題にせず、無風条件で10秒01を記録。条件さえ向けば、いつ9秒台に突入してもおかしくない状態となっている。
抜群の安定感、強さが光る。山県はこの1年間で、2度の10秒00を含めて計4回、10秒05以下を記録。すべてが追い風1・0メートル未満の条件だ。昨年6月の日本選手権で6位に敗れて以来、1年3カ月、日本人選手に負けていない。ただ、風だけが味方してくれない。山県自身は全日本実業団後、「(無風は)自分の力が1番分かる条件。地力がついてきた実感はある」と受け止め、「もどかしさは正直ある。記録ばっかりは、神様が『出していいよ』と言うまでは出ないんだなと思って、次に向かうしかないですね」と、前を向いた。
ただ、今度こそは絶好の条件が整いそうだ。国体の会場は桐生が昨年9月9日に、日本人初の9秒台を出し命名された『9・98スタジアム』。当時は絶えず2・0メートル前後の追い風が吹き、桐生が走った時は1・8メートルで認定された。福井陸協の木原靖之専務理事は「9月上旬は夏風の可能性があるけど、それを過ぎると秋風になる。追い風になる」と、話していた。10月となり冷え込みが気掛かりだが、追い風となる可能性は高い。
「9・98スタジアム」での挑戦に、「(記録を)出しずらいな」と苦笑いした山県だが、「桐生くんのお墨付きがあるスタジアムなんで、僕はその記録を超えられるように全力を尽くしたい。さすがに名前は変えられないでしょうけど、9・97を目指して頑張りたい」と、今季ラストアタックに自信を滲ませた。
日本短距離界の歴史は、再び福井で塗り変わるか。