【野球】カープ丸、初のキングも視野 昨季セMVP男の進化が止まらない
広島が球団初のセ・リーグ3連覇を遂げ、2009年に開場後、マツダスタジアムで初の胴上げを決めた。遊軍記者として担当記者の応援に駆けつけ、優勝の瞬間に立ち会った。10年前の万年Bクラスのチームとは別のチームに変わっていた。
今季の優勝の原動力は1番の田中からセ・リーグ屈指の打てる主力捕手、会沢まで上位から下位まで気の抜くことができない打線の破壊力であろう。700点を超えるリーグトップの得点力。中でも昨季セ・リーグMVPを受賞した3番・丸佳浩外野手の打撃の進化はとどまるところ知らずだ。
今季はタイトルを獲得した昨季をさらに上回る。打率、打点、DeNA・筒香と競う本塁打王争いと全てにおいてキャリアハイの成績を残す勢いだ。久々に対面した丸に今年の好成績の秘けつを聞いてみた。「昨年よりもいいスイングができる確率が上がってきたとは思います。迷いのないいいスイングができてきていると思います」。
丸といえば、豪快かつ高速スイングで鋭い打球を飛ばす打撃が持ち味。その迷いのないスイングにさらに磨きがかかっている。25日のDeNA戦・今永のカットボールを完璧に捉え、マツダスタジアムの右翼席中段へ38号。球足の速い打球を飛ばした。
打撃を芯で捉える確率がなぜあがったか。丸は自身をこう分析する。「今年はネクスト(サークル)で考え、まとめていたことのズレが少なくなったんです。ネクストに入って気持ちが揺らぐことが少なくなった。打席での経験値が増えたことでより確率が高くなったんですかね」。より読みも鋭くなったという。
カープ打線の主力の多くは29、30歳。もしくは07年ドラフト入団組が中心となっている。丸、田中、安部は29歳。33歳の松山は丸と同じく07年ドラフトで入団。「自分もそうですけど、みんな今の成績に決して満足はしていないと思いますよ。それぞれが自分の役割を果たさないといけないと思っている」。丸を含め、中心選手高い意識を持っているからこそ強力打線を形成できる。
優勝試合の練習時も中心選手がマツダスタジアムで早出で打撃練習を行い、準備を進めていた。
担当をしていた09年の大野寮。高卒2年目オフ。当時まだ1軍経験のなかった丸が「打撃のコツが分かったような気がします。居合抜きのような感覚で振ればいいんですね」と言ったのを覚えている。投手のボールを高速スイングで瞬時に捉え、スタンドに運ぶ。当時、そのスイングができるようになることを目標に必死にバットを振っていた。
目指すスイング、配球の読み。年々、磨きがかかっているからこそ、初の本塁打キング取りを狙える位置にいる。(デイリースポーツ・水足丈夫)