【野球】広島・中村奨成の1年、3連覇はTVで…「自分がいないのは悔しい」
広島・中村奨成捕手(19)が1年目のレギュラーシーズンを終え、収穫と課題を振り返った。ウエスタンでは83試合に出場し打率・201、4本塁打、16打点。捕手としてはチーム最多の51試合でマスクをかぶった。1軍出場こそ果たせなかったが、プロの世界を肌で実感し続けている。
「自分にとってはプラス。守りはできてきてるところもある。キャッチングはぶれが少なくなってきたし、投げる方はラインを外さずにベースに投げることはできるようになったかなと思います」
入団当初からまずは守備に重点を置いてきた。成長する中でも、「例えば走者が走った時、今はこうやらないといけないというのはどうしても考えてしまう。自然に考えずに、体に染みつくぐらいやらないといけない」と課題を口にする。武器の強肩はあるが、捕球から送球までを速くすることも足りない部分と自覚している。
1軍投手とバッテリーを組むことも勉強になっている。「1軍の方が投げる時はリードをしてもらっていた。こういう思いで投げたんだなと後々考えるようにしてます」。シーズン終盤からは倉2軍バッテリーコーチの提案で配球チャートを作っており「チャートを書くことによって分かりやすくなったかなと思う。今まではノートに書いてビデオを観て終わりだったので」。何度も見返すことで、反省材料ともしている。
打撃面でもプロの厳しさを痛感する。高校3年時は夏の甲子園で史上最多となる1大会6本塁打を記録したスラッガーだが「同じ140キロでもキレが違う。変化球も真っすぐだと思ったところから曲がったりだとか」とプロの投手のレベルは段違い。金属バットから木製バットに変わり対応力も求められた。左腰が浮き、伸び上がる癖も「全然直ってない」といい「打てると思って入ってきましたけど、現実を1年目から見ることができたのは良かった」と前向きに捉えた。
一度も1軍に昇格できなかった悔しさもにじませる。リーグ3連覇を果たした瞬間もテレビ越しに見るしかなかった。「入ったばかりとはいえ、1年目から1軍を目指していた。優勝して胴上げの中に自分がいないのは悔しい思いになりましたね」。常に上を目指すからこそ、その思いがある。
シーズン終了後は「みやざきフェニックス・リーグ」に参加していたが、8日の斗山ベアーズ戦で左膝に自打球が直撃したことで帰広。まずは復帰へ進み、その先に「今のレベルをさらに上げられるように」と力を込めた。「次の目標は来年春のキャンプ1軍スタート」と中村奨。経験を糧に、虎視眈々(たんたん)と1軍の舞台を目指していく。(デイリースポーツ・田中 哲)