【野球】育成のオリックスへ 福良育成統括GMへの期待
10月22日、オリックスの2019年、西村徳文新監督の下、戦うスタッフが発表された。
同時に福良淳一前監督の育成統括ゼネラルマネジャー就任も発表された。リリース資料にはわずか一文だけ。ひっそりと、と言ってもいいこの発表こそが実は球団にとっての会心の人事だった。
育成能力の高さは早くから評価されていた。監督の続投は固辞されたが、フロント入りすることで選手育成のかじ取り役を任せることができる。
福良育成統括GM。これほどピッタリの役職はない。自身はドラフト下位から入団し、レギュラーまで上り詰めた。引退後はコーチだけでなく、スカウトも務めた。日本ハム移籍後は2軍監督も経験している。選手としての経験だけでなく、スカウトとして選手を探すこと、コーチ、2軍監督として育てること、そして1軍ヘッドコーチ、監督として戦うこと、すべてを知っている人は球界でもそうはいない。
3年間の監督在任時によく聞いたのが、育成理論だ。
「若い子はゲームに出ることが1番。なんぼ練習しても試合でしか経験できないことがいっぱいあるから」
日本ハム時代に実践してきた育成法はこうだ。例えば、高卒で入って来た内野手がいるとする。将来レギュラーを狙えるとみれば、1年目から2軍戦で300打席立たせると決める。打てなくても守れなくても立たせる。2年目も同じ。3年目に移るときに、どうするか考える。
「レギュラーを狙えるのか、守備固めや代打代走などあとから試合に出る選手なのか、だいたい分かる。それだけチャンスをもらえれば選手も納得するからね」
簡単に試合に出すというが、2軍でも勝敗があり、順位も争っている。その中でいかに我慢できるかで、選手を育てられるかどうかが決まる。
「1軍で守備固めの選手が2軍に落ちたときに、ここなら打てるからスタメンで出る。こういうのが1番意味がない。1軍に上がったら4打席立つことなんてないんやから。1打席で勝負できるようにせんと悪いやろ」
2軍で目先の勝利にこだわっても先にはつながらないということだ。
日本ハムのファームでは糸井、小谷野、陽岱鋼らのちの主力となる野手を育てた。その手腕を今度はオリックスで振るうことになる。
2軍監督にはその日本ハム時代を知る中嶋聡氏が就任した。2人が数年後の常勝球団を作り上げてくれる。
球団の強い思いを感じたスタッフ発表だった。(デイリースポーツ・達野淳司)