【野球】巨人・畠「このまま終わっていいのか」からの復活劇

 指揮官への思いを胸に腕を振り続けた男がいる。巨人・畠世周投手(24)は9月に今季初昇格し、9試合を投げ、2勝3ホールド、防御率2・79。新セットアッパーとしてCS進出に貢献した。

 「春からずっと期待をしていただいていた。これまで力になれていなかった分、(高橋監督の)期待に応えることができれば」

 焦らないことを重視したことが復活劇のきっかけだった。ケガをじっくり治す選択をしたことが、現在の投球につながっていると話す右腕。「焦っても仕方ないと気づくことができた。できることをしっかりやっていこうと切り替えられた」と振り返った。

 今季は、期待がかかっていた中での離脱から始まった。春先の1軍キャンプで急性腰痛を発症。前半戦は一度も投げられなかった。

 一時は「わがままになっちゃうかもしれないが、なんで僕があそこ(1軍)のマウンドに立っていないんだろう、という悔しさがある」と口にするほど。戦力になれていない自身へのいら立ちを隠しきれなかった。

 一方では「このまま終わっていいのか」と。今、無理をすると1年を棒に振ることになるかもしれない。考えを改めて入念にストレッチをし、下半身に負荷をかけるトレーニングを中心に行った。

 着実に回復した右腕は、8月に3軍で実戦復帰。9月2日の四国IL・徳島戦では自己最速の156キロをマークし、終盤での1軍昇格を果たした。

 今季初勝利を挙げた9月23日の阪神戦。1-1の七回2死一、三塁のピンチで指揮官からマウンドを託され、福留を三振に。回またぎした八回も0に抑え、自力CSの可能性を復活させた。「与えられる場所で、全力で投げるだけ」。昨年まで先発を務めた右腕が、どんなポジションでも指揮官の思いに応えたい、という強い表れ瞬間だった。

 これから指揮官の思いに応えていく、期待を裏切り続けた指揮官へ恩返しをしたい。そんな時に高橋監督の今季限りでの退任が決まった。以降、チームは一丸となって奮起し、CS進出。14日にファーストSも突破を決め、首位・広島との戦いにこぎ着けた。

 ポストシーズンでの登板を見据え「やるからには0で抑えるのが仕事」と意気込んでいた畠。しかし、指揮官の前で披露した最後の投球は1回2/3を投げ4失点。逆転を許し、チームを勝利に導くことができなかった。

 今季を総括して「ふがいない1年でした」と口にした。来季からは4年ぶりに原辰徳監督が指揮を執る。17年以来の先発への思いも口にしつつ、「与えられた場所でしっかりやっていきたい」と力を込める。新人時から起用し続けてくれた高橋前監督に報いるためにも、期待に応える快投を演じていく。(デイリースポーツ・関谷文哉)

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