【スポーツ】東京五輪へアマ登録の高山勝成 ボクシング競技存続へ署名呼び掛け
プロボクシングで日本初の主要4団体制覇を果たし、昨年4月にプロを引退、アマチュアとして東京五輪出場を目指す高山勝成(35)=名古屋産大=の愛知県ボクシング連盟へのアマ登録が10月26日付で受理された。28日には大阪市内で支援者らと決起集会を開き「自分一人では何もできなかった。感謝の気持ちを言葉に変えたい。ここからが勝負」と決意表明した。
険しい道のりだった。国際ボクシング協会(AIBA)は16年リオデジャネイロ五輪からプロ選手の出場を解禁したが、日本連盟は山根明前会長のもとで、プロ経験者のアマ登録を一貫して認めてこなかった。高山は今年3月には2万5000人の署名を集めて、申請手続きに行ったが“門前払い”。8月には日本スポーツ仲裁機構に仲裁を申し立てていたが、連盟側は話し合いを拒否していた。
だが、山根前会長が助成金不正流用や、反社会的勢力との交際などにより辞任に追い込まれたことで流れが一変。9日に都内で行われた日本連盟のアマ登録資格審査委員会で、高山はアマルールや規則に対するペーパーテスト、面談などを受け審査を通過。10日には日本スポーツ仲裁機構に対する仲裁手続きなどを取り下げていた。
注目のアマデビュー戦は来春予定で、全日本選手権の愛知県予選にフライ級(アマは49キロ超52キロ以下)で参加する見込み。ケビン山崎トレーナーのジムで肉体改造に取り組んでおり、今後は強豪校などへの出稽古でアマへの適応を本格化させる。
ようやく東京五輪へのスタートラインに立ったその一方で、懸念もある。国際オリンピック委員会は(IOC)はAIBAの組織統治を問題視しており、東京五輪でのボクシング競技除外を示唆している。11月のAIBA会長選の結果次第では、12月初めに東京で行われるIOC理事会で厳格な措置が予想される。日本ボクシング連盟は正式競技存続のため「100万人署名活動」を既に開始。決起集会では高山も参加者に署名をを呼び掛けた。前途多難だが「未来を約束された戦いはなかった」。東京五輪へと続く未来を信じて、高山が歩み出す。(デイリースポーツ・山本直弘)