【野球】大谷と同期の“新井2世”宇佐美さん 新会社設立へ奮闘中
現役を引退してから2年の歳月が過ぎた。17年オフ、日本ハムから戦力外通告を受けた宇佐美塁大さん(24)。現在、郷里の広島に戻り、市内の焼き鳥店でアルバイトをしながら、新会社の起業を目指している。
12年にドラフト指名されファイターズに入団。同期の1位はエンゼルスの大谷翔平がいる。広島工時代、通算45本塁打を放ち将来、高校の先輩、“新井貴浩2世”として期待されたが、右足の肉離れなどで1軍出場機会はなくプロ野球生活を終えた。それでも宇佐美さんは「僕の中では、十分やりきった感はありました。プロでは野球以外でも人間として成長できた5年間でした。ファイターズには感謝しています」と、充実の表情で振り返る。
サラリーマンでにぎわう焼き鳥店。今は店長にも認められるほど、鶏を焼く技術も上達。自らビールを注ぎ、お客さんにも振る舞う日々だ。「いろいろとお客さんと接して、お客さんが何を考え、何を食べたいかとか、分かってきたような気がします」。将来的に焼き鳥店の経営には興味がないというが、焼き鳥店での修行が社会勉強につながっている。
メジャーリーガー・大谷の活躍も刺激になっている。12年の日本ハムのドラフトの高卒入団は大谷、森本龍弥、宇佐美さんの3人。入団時は焼き肉を食べながら、プロでの目標や夢を語りあった。今シーズン中も夜中に広島からロサンゼルスに滞在中の大谷に「LINE」でメッセージを送り「どうしたの?今、練習中だよ」と二刀流を驚かしたことも。立場は違えど、同期入団の大谷の活躍が自分の行動を奮い立たせる。「翔平はいつも同級生の立場で接してくれるんですよね。いつか、ご飯を食べにいったとき、自分も翔平に見合うくらいの人物にはなりたいです」と目を輝かせる。
17年のオフ、マツダスタジアムでのトライアウトが野球選手として最後の打席だった。両親ら家族が見守る中で、左中間へ本塁打を放った。くしくも高校3年夏の広島大会準決勝。延長14回に決勝打となる左中間二塁打を放ち、その年の甲子園出場を決めた。同じグラウンドで同じ方向へ放った打球。高校時代、スタンドを越えられなかった打球は5年後、スタンドに届くまでになった。
「1軍で活躍はできなかったですけど、あのホームランはプロでの5年間の成長だと思っています。プロでの経験を生かして、広島の方々に喜んでもらえるような仕事をしたい」。プロ野球で修行したことを励みに第2の人生でホームランを放つ。(デイリースポーツ・水足丈夫)