【野球】取材にもにじむ“新井さん”の人柄 記者にドッキリ、アイドル談義も
今月上旬、25日発売の「新井引退特集号」の企画で、新井さんを取材した。プロ20年間を振り返るインタビューは2時間近く続いたが、1年1年、懐かしそうに、当時の記憶を呼び起こしてくれた。
現役生活を振り返ると「苦しいこと、つらいことばっかりよ」と言っていたが、カープでの若手時代、阪神時代、そしてプロ野球選手会の会長就任など、その言葉通り、苦難の連続だった。それでも終わってみれば「いい経験だった」と笑う。広島復帰後はリーグ3連覇も達成。涙あり、笑いあり。こうした経験が誰からも愛される“新井さん”を作り上げたように思えた。
「お腹空いてない?コーヒーと、サンドイッチでも食べようか」
取材はいつものように和やかな雰囲気で進んでいった。こちらの質問に真剣に向き合うのはもちろん、カメラマンにも気を遣う。例えば、昔好きだったアイドルの話題になれば「誰が好きでした?」と振る。カメラマンが「菊池桃子が好きでした」と答えると「分かります、分かります。僕よりちょっと世代が上ですね!」と言って盛り上げる。撮影中も「(写真を)見せてください。最近クマがひどくて。大丈夫ですか?」と自然とコミュニケーションを図る。
取材前には待ち合わせ場所の喫茶店入り口で待っていた記者に、「もしもし、今日無理になった!」と電話を切るドッキリも。他にも「好きな漫画」や「プロ野球選手になってなかったら」などの質問には熟考した末、こん身のボケで返すなど、インタビューの終盤は大喜利状態だった。
意識しなくても自然と人柄がにじみ出る。チームでも松山、バティスタ、野間、上本、高橋樹ら、実績、年代、ポジションなど、分け隔てなく話をする。普段から口にする「人が好き」という言葉に偽りはない。「新井さんにはいつもかわいがってもらっています。こちらが質問をしても丁寧に答えてくれて。あんなにいい人いないですよね」。店のマスターの言葉がすべてを物語っていた。(デイリースポーツ・杉原史恭)
※デイリースポーツの広島「新井貴浩選手引退特集号」は25日に広島県主要駅売店とコンビニエンスストアなどで発売。郵送での購入も可能。