【野球】なぜ、オリックス・山本由伸は新人王に選ばれなかったか
11月27日のNPBアワーズ。オリックス・山本由伸投手の受賞はやはりならなかった。パ・リーグ新人王は楽天・田中に決まった。
高卒2年目の今季は4月末に1軍昇格すると、すぐに八回を任されるセットアッパーに定着。54試合に登板し、4勝2敗1セーブ、32ホールド、防御率2・89の好成績を残した。
MAX154キロの速球に150キロ近い速度のまま変化するカットボールを武器に、打者をまったく寄せ付けず抜群の安定感を誇った。
カットボールのキレ味の鋭さは“消える魔球”といってもいいほど。空振りした打者がビックリした顔をしているのを何度も見た。
19歳でオールスターにも出場。シーズン終盤まで最優秀中継ぎを争うホールドポイントでトップを走っていた。最後は脇腹痛もあり戦列離脱したためタイトル獲得はならなかったが、その活躍は鮮烈だった。
では、なぜ新人王獲得ならなかったか?
得票数を見てみると次のようになる。
【パ・リーグ】(有効投票数258票)
楽天・田中 112票
オリックス・山本 70票
ソフトバンク・加治屋 45票
ロッテ・藤岡 17票
日本ハム・清宮 2票
西武・今井 1票
ソフトバンク・グラシアル 1票
オリックス・田嶋 1票
該当者なし 9票
投票資格は新聞、通信、放送各社に所属しており5年以上プロ野球を担当している記者に与えられる。
今年のパ・リーグの場合、地域別で見ると札幌21、仙台24、東京137、大阪54、九州25、の計261人。数だけみればオリックスのある大阪が有利に見える。
ところが、このうちスポーツ紙のオリックス担当の有資格者はわずかに1人だった。
シーズン中、当時の福良淳一監督は報道陣(といっても5、6人)を前に「由伸に投票してやってくれよ」と話していたが、投票資格のある記者が1人と聞くと「えっ!1人!!」とイスから崩れ落ちそうになっていた。
タイトル争いまでした山本が新人王に選ばれなかったのは残念でならない。では、どうすれば選ばれたのだろうか。
メジャーの場合を見てみると、全米野球記者協会からメジャー球団が本拠地を置く各支部から1人ずつ、計30人が選出され、投票する。こうすれば地域格差もない。
すべてがメジャーに倣えばいいというものではない。だが、パ・リーグのように日本ハム、楽天、ソフトバンクなど地域に根付いた今、地域差などない平等な選出方法を考えてもいいのではないかと思う。(デイリースポーツ・達野淳司)