【芸能】北島三郎 いったん卒業した紅白になぜ出場…大御所が語っていた情熱とは
歌手・北島三郎(82)が4日、今年のNHK紅白歌合戦に特別枠で出場することを発表した。5年ぶりの復活となる。紅白に関しては2013年に前人未到の出場50回の金字塔を打ち立て「紅白から一つ線を引く」と卒業した。大御所を復帰へと動かしたものは何か。1カ月ほど前、ひそかにその思いをデイリースポーツ記者に語っていた。それは「ファンの期待、熱気、後押し」だった。
実は紅白卒業後も毎年、水面下でNHKから何らかの形での出演オファーがあった。そのため、毎年この時期になると北島本人に意思確認を行ってきた。ずっと「出ないよ」とあっさりと返答してきたが、今年は違った。出場に前向きな言葉を並べ、「もしオファーが来たら」と問うと、受ける覚悟を示した。
2016年8月に自宅で転倒。「頸椎(けいつい)症性脊髄症」の手術を受けた。一時は満足に歩けず再起不能も視野に入るほどの状態になったが、懸命なリハビリで復活した。その復帰第1弾でNHKの番組で地方に行くと、会場入りする自分を大勢の人が待ってくれていた。
「サブちゃん!待ってたよ!」。ステージに立つと以前とは違うファンの熱気を感じた。それ以後もどこの会場でも同じような現象が見られた。北島は「テレビでもあまり歌わなくなったからかな。自分が歌うことを本当に楽しみにしてくれる。ステージに立つと以前より盛り上がるし、熱気を感じるんだ」。そこであらためて思った。「オレが生きる場所はここだ」。
紅白卒業時も「お世話になった番組。今後も機会があれば恩返しをしたい」と語っていた。平成の時代が終わる最後の紅白に、その時を選んだ。
「もし出るとなったらきっと『紅白から一線を引くと言ったのに何で出てくる』という声も当然、あるだろう。でもな、オレは“紅白でもう一度オレを見たい!”“オレの歌を聞きたい!”という方々の声を大切にしたいんだ。オレが生きていく場所はやっぱりステージの上。それを全国の皆さんが教えてくれたから」。
出番は後半。企画枠。精いっぱいの声で、全国へと「まつり」を響かせる。(デイリースポーツ・栗原正史)