【野球】巨人・菅野智之から垣間見えるエース像とは-
巨人・菅野智之投手(29)は、先発投手としての最高栄誉である「沢村賞」を2年連続で受賞するなどまさに“真のエース”と呼ぶにふさわしい投手だ。
今季もポストシーズン初のノーヒットノーランや10完投8完封など圧巻だった右腕は来季、エースナンバーの「18」を身に着けてプレーすることが決定している。
契約更改では、02年に年俸6億1000万円だった松井秀喜氏を抜く球団日本人史上最高額の年俸6億5000万円で契約を結んだ(金額は推定)。18日にハワイへ出発し、南国での自主トレで鍛錬を重ねる日々が続く。
類例の無い域に挑戦し続ける菅野。結果でエースの威厳を保つだけでなく、言葉や姿勢からも貫禄が見える。
巨人を確固たる強いチームにするためには、次代を担う若手の成長が不可欠と菅野は語る。若手投手の高田や今村、鍬原などの「生え抜き選手の台頭」が必要と説き、東京ドームMVP受賞の会見時に「対抗馬となる選手が出てきてくれたらうれしい。僕もそれが刺激になって良い成績を上げられると思うので。切磋琢磨(せっさたくま)して、優勝を」と熱い思いを口にした。
今季中盤にロッカーで今村、鍬原ら若手に菅野はメーカーから作られた自身のキーホルダー(非売品)をプレゼントしたという。今村、鍬原は「肌身離さず持っている」とうれしそうに話していた。若手だけに配るのは、彼らに期待をかけている証拠だ。チームを共に強くしたい-。行動にも先頭に立つ身としての姿がはっきりと現れていた。
人一倍、勝ちにこだわる男はシーズン中こう、漏らしていたことがある。「チームとして(勝利の)喜びを共有していかないと。全員が同じベクトルを向いてやることが大事」。常々「優勝、日本一」という言葉を口にする菅野。若手の成長が不可欠とも説いたが、「全員野球」で勝利に向かう大切さが好転の鍵になるとエースは強く信じている。
来季は伯父の原監督が4年ぶりに指揮官となり、5年ぶりの覇権奪回に挑む。自身も「18」を背負って戦う最初のシーズン。エースは「20勝、沢村賞全項目クリア」と高らかに宣言した。チーム一丸となってチャンピオンフラッグをつかみにいく。(デイリースポーツ・関谷文哉)