【芸能】M-1久保田&武智の騒動を生んだ放送時間…ネタ時間の3倍以上に再考の要
年の瀬を迎えた12月も、芸能界の話題は絶えることがない。中でもトップクラスの関心事となったのが、2日に行われたM-1グランプリ決勝における、審査員を巡る騒動だった。
事の発端は同日夜、芸人たちの打ち上げとおぼしき会場で撮影された映像。前年度覇者のとろサーモン・久保田かずのぶ(39)と、ラストイヤーだった今年、7位に終わったスーパーマラドーナ・武智(40)が、審査員の上沼恵美子(63)を口汚く批判する様子が、武智のインスタライブで流された。
早い段階でこの映像を見ていただけに、炎上は予想通り。だが久保田、武智とも、ネット上で敵の多い“クセ者芸人”だけに、想像以上に騒ぎが大きくなった点は否めない。2人ともすぐに謝罪はしたが、そうした考え方を持っていたことは明白になってしまっただけに、ダメージは大きかった。
2人の上沼への“個人攻撃”は、その表現方法からも、批判が集まるのはやむを得ないだろう。ただ、審査員への、不満とは言わないまでも、違和感に近いものは、特に今大会は視聴者も少なからず覚えたのではないか。松本人志が「前半は全体的に重かった」と論評したが、原因の一端は審査員にもあったのではと考えている。
M-1決勝のネタ時間は、1本につき4分以内と決まっている。ファーストラウンドの10組と、最終決戦の3組で、ネタの本数は計13本で固定。必然的にネタの総時間は、52分以内に収まることになる。そして今年の決勝戦の放送時間は、約3時間30分。ネタ時間の3倍以上の放送時間があるだけに、審査員のコメントにも相当の尺を割く必要がある。
だからこそ、審査員が自身のコメントで“ショーアップ”することを意識しているように思えた。言葉は悪いが、審査員のコメントも一つのネタになっている状態。上沼や立川志らくは、その代表格だった。褒めるだけでなく、厳しく罵倒するのもショーアップの1つ。序盤に予想以上の厳しい言葉が並べば、空気が重くなるのも無理はない。
審査が必要以上にショー化された結果、審査される側との間に感覚的な溝ができ、今回の“悲劇”が生まれたと言えないだろうか。さまざまな事情はあるにせよ、もう少しネタ時間と放送時間のバランスを整える必要はあるように思う。
「時間」に関しては、気になった点がもう1つ。「4分以内」というルールが、今年の決勝では順守されていなかった。上位に入ったコンビの中にも、4分30秒近くかけたネタがあった。実はこちらの方が、しっかり対応策を考えるべき話かもしれない。(デイリースポーツ・福島大輔)