【野球】智弁和歌山・高嶋仁名誉監督の人徳が表れた292人出席の勇退パーティー

 「人徳」を言葉や数字で表現するのは難しい。しかし、大阪市内で10日に開催された智弁和歌山・高嶋仁名誉監督(72)の功労をたたえる「高嶋仁先生を囲む会」に集まった顔ぶれを見ると、こういうことなのかと納得させられた。

 会場となったホテルの大宴会場は超満員。総勢292人の野球関係者が出席した。大垣日大・阪口慶三監督、横浜・渡辺元智前監督、星稜・山下智茂名誉監督、PL学園・中村順司元監督、帝京・前田三夫監督、早大・高橋広元監督、日大三・小倉全由監督、聖光学院・斎藤智也監督、東海大相模・門馬敬治監督ら、全国から名将が足を運んだ。

 発起人となったのは智弁和歌山を2002年夏の甲子園決勝で破り初優勝した明徳義塾・馬淵史郎監督、昨年春の甲子園決勝で智弁和歌山を破った大阪桐蔭・西谷浩一監督ら、長く親交のあった指導者たちだ。代表であいさつした馬淵監督は「高嶋さんとは何度も甲子園で対戦したが、勝利への執念は素晴らしかった」と振り返った。

 高嶋氏は「48年間の指導者人生で、多くの人に助けられた」と感謝を表した。「昨今、生徒への指導は難しい。子供たちの育った環境は変化している。指導者も変わっていかないといけない。選手を怒る前に、自分の選手時代を振り返ってみてください。そんなに大したことなかったでしょう。その(謙虚な)気持ちを持って指導していってください」と呼びかけた。さらに「野球を外側から見てみると、まだまだ私は視野が狭かったと感じる。これからは日本中を回って、どんな野球をしているのか見てみたい」と、指導者の魂を燃やし続けている。

 すでに、九州で幼稚園児のための野球教室を視察したという。野球人口減少の対策で、9日に行われた和歌山県の野球協議会では指導者への講演も行った。「幼稚園から大学まで、野球をやめずに続けてもらうにはどうしたらいいかということ。みんなに野球を楽しんで続けてもらわないと。そして智弁和歌山に入ってほしいですね」と冗談を交えながら説明した。野球への情熱を野球への恩返しとして還元していく。甲子園勝利数だけでない人間的な魅力が、指導者が憧れる指導者像を形成したのだろう。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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