【スポーツ】ラグビーW杯へ、複数筋道で強化進める日本代表 9・20日本大会開幕
9月20日に開幕するラグビーW杯日本大会に向けて、日本代表候補は都内で合宿を重ねている。その一方で南半球の強豪チームで構成されるスーパーラグビーに、日本チームのサンウルブズが参戦。15日には「ウルフパック」という新チームの発足も発表された。選手個々の状態や、その時々に必要なトレーニングなどを考慮して、複数の道筋で強化を進めているのだが、少々わかりにくいので、解説してみたい。
◆日本代表候補とは 日本ラグビー協会は昨年12月に、第3次ラグビーW杯トレーニングスコッド(RWCTS)38人と、その予備軍に相当するナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)18人を発表した。略称でもわかりにくいRWCTSを新聞紙上などでは日本代表候補として表記している。
◆1月~3月下旬 サンウルブズと日本代表候補合宿
日本代表候補のうち15選手はサンウルブズに所属。日本代表コーチも務めるトニー・ブラウンヘッドコーチ(HC)の下、1月中旬から合宿を重ね、16日には開幕戦に臨んだ。主に早期から実戦をメインに強化するメンバーが入った。
残りの日本代表候補23人に、NDSから招集された10人を加えた計33人は日本代表候補合宿で強化を進める。昨季の疲労を考慮して2月上旬まで6週間の休暇を経て集合。日本代表のジェイミー・ジョセフHCが指導し、東京、千葉で5週間、沖縄で10日間、計6回の合宿に臨んでいる。こちらは基礎スキルの習熟、体力強化など基本から段階を踏んで強化する組だ。
◆3月下旬~5月末 サンウルブズとウルフパック
3月20日の沖縄合宿を終えた日本代表候補選手は、サンウルブズ合流組と、サンウルブズから漏れたメンバーで構成する「ウルフパック」入りする組に分かれる。
サンウルブズ組はこの間7試合、世界トップレベルのチームと公式戦に臨む。ジョセフHCが指揮するウルフパックは国内外で5試合、スーパーラグビーの2軍相当のチームと練習試合を行う。
状態や強化ポイントに応じて、選手の入れ替えも行われる。
◆6、7月 第4次日本代表候補に一本化
6月に第4次日本代表候補を招集し、宮崎合宿に入る。サンウルブズは基本的に代表資格のない外国人選手のみで戦い、ウルフパックは活動終了する。
この段階で招集外の選手にとっては6月に行われるトップリーグのカップ戦が代表入りアピールのラストチャンスとなるが、見通しはかなり厳しい。
◆7月末~9月 代表戦を経て本大会代表決定
日本代表候補メンバーはパシフィック・ネーションズ杯に出場。7月27日にフィジー戦(釜石)、8月3日にトンガ戦(花園)、10日に米国戦(フィジー)を行う。その後、網走合宿を経て、9月2日締め切りのW杯登録メンバー31人に絞り込まれる。W杯メンバーは9月5日に壮行試合南アフリカ戦(熊谷)を経て、同20日のW杯開幕戦に臨む。
W杯本大会から逆算して作り上げた強化プラン。ジョセフHCは「W杯までには選手たちも(戦術を)熟知して、フィジカル的にもいい状態で入れるという手応えを感じていますし、自信も持っています」と話している。(デイリースポーツ・鈴木創太)