【野球】広島・菊池保、新天地での開幕1軍生き残りに奮闘
楽天から広島にトレードで加入した菊池保則投手(29)が新天地で躍動すべく、必死の形相で腕を振っている。移籍後初の春季キャンプを1軍で過ごした右腕。まずは新加入として首脳陣からの信頼度アップを重ねることを念頭に置き、開幕1軍とその先を見据える。
「とにかくゼロに抑えることが仕事。まずは行けと言われたところで結果を出し続ける。その積み重ねだと思います」
昨年11月に福井との交換トレードで広島入団。1月下旬の先乗り自主トレから参加し、新たな仲間と鍛錬の日々を過ごしてきた。自然と力も入る中、日南キャンプではヒヤリとする出来事もあった。下半身のコンディション不良で、7日のシート打撃登板を回避した。幸い、10日にはブルペン投球を再開したが、「既に出遅れている。取り戻さないと」と、より一層闘志はみなぎった。
移籍後初めて打者に対したのは、16日に行われた沖縄2次キャンプでのシート打撃。田中広や野間ら打者7人に対して1安打1四球。対外試合初登板となった18日の韓国・KIA戦では九回に登板し、先頭打者をフォークで空振り三振に斬るなど1回1安打無失点1四球。まずまずの“デビュー戦”だった。
しかし、25日に行われた古巣・楽天との練習試合だった。気負いはなかったというが、内田に2ランを浴びるなど1回4安打2失点。「(本塁打は)そんなに悪い球ではないと思ったけど、自分の直球がまだまだ」。キャンプ前から重要視してきたのが力強い直球で、ブルペンでも直球の比率を多くしてきた。改めて感じた課題を今後完璧に近づけていくことが求められる。
プロ12年目での新天地。現在1軍にいる投手の中では、野村とともに日本人最年長だ。「自分が入ったというよりも、昔からいるチームに新しい選手が入った気持ちでいるようにしています」。チームに溶け込むため、右腕なりの発想の転換。この心持ちであれば、気を遣いすぎることもないという。「みんな優しいです」と、はにかみながら同僚にも感謝した。
リリーフ陣は中崎や一岡、フランスアに加え、ドラフト2位・島内や3年目の矢崎らも候補に入ってくる。「チャンスは多くない。自分の力を出して開幕メンバーに入れるようにしたい」。まずは開幕戦の3・29にマツダスタジアムに足を踏み入れるべく、好結果好内容を残して争いを勝ち抜いていく。(デイリースポーツ・田中哲)