【野球】室戸女子硬式野球部、過疎に悩む地元盛り上げる 選抜4強目指す

 「第20回全国高校女子硬式野球選抜大会」が3月27日から7日間、埼玉県の加須きずなスタジアムを主会場に行われる。

 同時期に甲子園で開催される男子のセンバツに負けじと、全国の頂点を目指して女子選手たちが熱戦を繰り広げる大舞台。26チームが出場する中、地域を盛り上げようと独自の取り組みで上位進出を目指しているのが室戸(高知)だ。

 「高知の室戸に女子の硬式野球部があることを多くの人に知ってもらいたい。全国大会で勝つことが部の魅力になる。そういう意味でも頑張らなければと思っています」。チームを率いる横田尊監督(32)は言葉に力を込めて話す。

 同校がある室戸市は、高知県の東南端、太平洋に突き出た室戸岬に広がる人口約1万4000人のまち。野球も盛んで、2007年春には同校の男子野球部が甲子園に初出場。2勝を挙げて8強入りを果たす旋風を巻き起こし、地元が歓喜に沸いた。

 しかし、近年は急速に過疎化・少子化が進み、センバツ出場当時は約500人だった生徒数が、現在106人まで激減。男子野球部も部員不足のため他校と連合チームを組んで県大会に出場せざるをえない状況となっている。

 そんな時代の流れに危機感を覚えた地元の有志が、学校の生き残りをかけ、女子野球による活性化を発案。2013年に4人のメンバーで同好会が立ち上がり、翌年、四国初となる女子硬式野球部が正式に発足した。県内外から有力選手が入部し、16年夏には全国高校女子選手権大会でベスト8に進出するなど、着実に力をつけてきている。

 ただ、日々の活動には困難も多い。特に、近隣に女子の硬式野球部を有する学校がないため、練習試合をするには県外に出るしかなく、年間通じてかなりの遠征費がかかる。

 その問題を解決しようと、創部当初から活動を支援する後援会「M’sホープ」が昨年秋、ネット上で活動資金を調達するクラウドファンディングを実施。今年1月中旬までの約3カ月間で、84万9000円の寄付金が集まった。横田監督は「感謝の気持ちでいっぱい。大事に使わさせていただきます」と話す。

 昨年12月には、プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスが室戸女子野球部を支援することが決定。駒田徳広監督(元巨人、横浜)が特別顧問に就任し、同監督やコーチ・選手らから定期的に指導を受けられることになった。

 熱烈なサポートを背に挑む全国選抜大会。主将の矢野菜月外野手(2年)は「1つでも多く勝って、恩返ししたい」と意気込む。「室戸高校の名を全国に広めたい」とは4番の大野美空捕手(2年)。大阪府出身の井上綾乃内野手(2年)も「地域の方々が応援してくれる。一戦一戦、しっかり戦いたい」と力強く誓った。

 昨夏に3年生10人が引退し、現チームの部員は2年生7人、1年生4人の計11人。小所帯ながら、持ち味の打力を磨き、16年夏の8強を超える「全国ベスト4」を目指す。(デイリースポーツ・浜村博文)

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