【野球】ヤクルト打線にフェースガード付きヘルメット急増の理由…“副産物”も期待
一気に増えた。昨季はリーグNo.1のチーム打率・266を誇ったヤクルト。今春のオープン戦でも12球団トップの66得点(21日現在)をたたき出している打線で、16日の巨人戦から変化があった。フェースガード付きのヘルメットを使用する選手が急増したのだ。
これまでチームではバレンティンがかぶっていたが、今春キャンプの終盤に昨季頭部を含めて19個の死球を受けた青木が使用を開始。侍ジャパン参加中に若き大砲・村上も使い出すと、前述の巨人戦で山田哲、坂口、雄平らにも一斉に輪が拡大。スタメン9人中7人が、フェースガードを付けた。
通常のヘルメットに部品を取り付ける作業は、短時間で可能。とはいえ、なぜここまで急に広まったのか。取材してみると、宮本慎也ヘッドコーチの助言が背景の一つにあった。
フェースガードの目的は、もちろん顔の保護。使用者はソフトバンク・柳田、巨人・丸、広島・鈴木ら厳しい内角攻めに遭う強打者が多い。ガードがあることで、恐怖心なく踏み込めるメリットもあるとされる。ただ、宮本ヘッドコーチは“副産物”に期待する。
「落ちる球を振らないようにならないかなと思ってね。『視界が狭くなって集中力が増す』という人もいると聞いたし。何人かの選手には、そういう話はしましたよ」。狙いは変化球への対応力アップの効果にあった。
ちなみに巨人戦では、途中出場も含めたフェースガード使用者ののべ27打席で、低めの変化球を空振りしたのは2球のみだった。勧められた選手の一人、雄平は「今はテスト期間。まだ(効果は)わからないけど、意識が集中できれば違ってくるかも。低めを振らなければ、打率も上がるかな」と今後の変化を予想。「良ければ使ってみようかなと思っている」と本格導入も視野に入れる。
新たに使い始めた選手の反応は「全然違和感はない」、「気になる」、「変わらない」などさまざま。個人によって合う、合わないは当然あるだろうし、シーズンでどれだけの面々が継続的に使うかはわからない。それでも、開幕までに少しでも可能性を広げるためのテストは、無駄にはならないだろう。狙い通りのフェースガード効果が生まれれば、リーグ屈指の打線がさらにすごみを増すかもしれない。(デイリースポーツ・藤田昌央)