【野球】イチローの提言、どう受け止める「日本の野球は頭を使う、面白い野球であって」
発する言葉の節々に日本への深い愛情を感じた。28年にわたる現役からの引退が発表された21日、最後の試合となったアスレチックス戦を終えたイチロー。東京ドームから場所を移しての引退会見の中で、母国を思う言葉が並んだ。
「日本の野球がアメリカの野球に追従する必要はまったくなくて。やっぱり日本の野球は頭を使う、面白い野球であってほしいなと思います。せめてやっぱり日本の野球は決して変わってはいけないこと、大切にしなくてはいけないことを大切にしてほしいなと思います」
今後の日本野球への提言に熱が帯びる。海を渡ってから19年。野球発祥の地の第一線で輝きを放ち続けてきたからこそ、言葉に重みが増した。「僕がアメリカに行ってから、現在の野球は全く違う野球になりました。頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような」。テクノロジーが進歩しても「頭を使わないといけなんですよ、本来は」と言い切る。米国追従ではなく、日本独自の野球の発展を願った。
現役最後の舞台となった東京ドーム。この日も含め、今回の凱旋4戦すべてで超満員の観衆が、声を枯らして声援を送り続けた。巨人とのエキシビジョンゲーム後「東京のファン最高」と声を弾ませていたイチローは会見で、自身の持っていた“日本人観”の変化にも言及し、感銘を口にした。
「なんとなく印象として、日本の方というのは表現することが苦手というか、そんな印象があったんですけど、それが完全に覆りましたね。内側に持っている熱い思いが確実にそこにあるというのと、それを表現した時の迫力というものは、今まで想像できなかったことです」
午前0時前から始まり、84分にわたった深夜の会見。世界最高を極めた野球人としての言葉だけでなく、日本人・イチローとしての言葉も、また印象的だった。(デイリースポーツ・野畑圭司)