【野球】2年ぶりに白星を挙げた楽天・福井、真価が問われるのはこれから
広島から楽天に移籍した福井優也投手が移籍2度目の先発となった4月10日の西武戦(メットライフドーム)の6回5安打2失点で移籍後初勝利を挙げた。「調子はまままあでした。途中から相手に向かって投げられた」。約2年ぶりの白星を喜ぶ報道にこちらもうれしくなった。
2010年度ドラフト1位で広島に入団。力のある直球と切れ味のあるスライダーにカーブ、フォークを武器に1年目から8勝を挙げ期待通りの活躍を見せた。しかし、2年目以降は制球に苦しむ投球が続いた。
筆者が福井と知り合ったのは、0勝に終わったプロ3年目の13年だ。同じ岡山出身ということもあり2軍の取材に行くと話をするようになった。気になる存在は同郷というだけではない。デイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏は「球のキレはマエケン(現ドジャース・前田健太)に負けないよ」という言葉も後押しした。
快投をしたかと思えば、突然四球から崩れる姿を何度も見てきた。15年に9勝を挙げオフには投手キャプテンにまで指名されたが、チームが25年ぶりのリーグ優勝を果たした16年は5勝に終わった。その後もキャンプでは期待されながら結果が出ず、18年オフに菊池保則との交換トレードで楽天に移った。
19年の年始め、近鉄バファローズOB会懇親会で楽天の山口哲治プロスカウトに会った。由宇やマツダスタジアムで何度か会っていた。福井の2軍戦登板を何度も見て調査したトレードの仕掛け人は「環境が変わればやれる力はある。力はあるからね」と期待を込めていた。
福井は新天地でチームに溶け込みキャンプ、オープン戦と結果を出し開幕ローテーション投手を手にした。3月25日の広島との練習試合では、3回無失点と古巣相手に好投した。安仁屋氏は「球速も140キロ台中盤も出ていたし、いい球を放っていた」と評価した。
広島時代もキャンプでいつも期待されながらシーズンに入って期待を裏切ってきた。大石達也(西武)、斎藤佑樹(日本ハム)とともに早大三羽がらすとしてプロの門をたたき、3人の中で一番の白星を積み上げている。ここまでは順調に来た。まだまだ勝てる力はある。ただ、広島時代、一つの四球で迷走した姿も福井である。トレードをきっかけにプロ入り初の2桁勝利を挙げたとき、一皮むけたと言っていいだろう。真価が問われるのはこれからだ。(デイリースポーツ・岩本 隆)