【スポーツ】北勝富士のかわいい趣味「何回見ても違う発見が」
つわものぞろいの大相撲界で何ともかわいい趣味を持つ力士がいる。先場所、新三役となった小結北勝富士(26)=八角。ミュージカル鑑賞に今、どっぷりはまっている。
2年程前、知人から「チケットが余っているけど」と譲られ、「興味はないけど、暇だし行ってみるか」と初観劇した。
劇団四季が演じる「ライオンキング」。知識もなく、「正直、ばかにしてました。何で歌うのかって」と軽い気持ち。それが見て一発で引き込まれた。
「セリフがあって、気持ちが高ぶって歌うんですよ。セリフの延長に歌がある。草の役がいるんですが、すごいんですよ。ほんものの草みたい。あの草をやるのにどれだけ練習するのか」。ストーリー、主人公はもちろんながら脇役に至るまでクオリティーの高さに感動した。
それからは劇団四季のとりこ。ライオンキングは4回も見た。「何回見ても違う発見がある。草の役がすごい」となぜか草にくぎ付けになっているところが、一流の目線か…。「アラジン」、「ノートルダムの鐘」と、見る度に感激した。
携帯でミュージカル動画をいつも視聴。場所中も移動の時はライオンキングのテーマ曲を聞いて、気持ちを高めている。今や北勝富士にとってなくてはならないアイテムだ。
観劇は1人でも行くが、着物にまげ姿は目立って仕方がない。女性や家族連れが多い中、どちらかといえばこわもての力士は異様な存在。恥ずかしさも感じながら、握手、サインを求められれば気軽に応じている。
そんなミュージカル愛全開の北勝富士にうれしいことがあった。フェイスブック(FB)で劇団四季の役者から連絡があった。劇団四季には相撲好きが集い、定期的に相撲観戦に行く「相撲部」が存在。相撲部所属の役者から「今度、楽屋に来て下さい」と言われ楽屋に招待されたのだ。
春巡業の合間を縫って先日、4回目のライオンキングを見に行った際、役者さんと初対面。互いに「すごい、すごい」と褒め合い、交流。北勝富士は手形や自身のオリジナルグッズを贈った。
6月にキャッツを見にいく予定で「ミュージカル力士を目指そうかな」と今後、コラボする夢を描いた。
本業でも着実に力を付けている。先場所は7勝8敗と負け越し、1場所で三役陥落となったが、最後は4連勝で締めた。番付降下を最小限に食い止め、夏場所(5月12日初日、両国国技館)で好成績なら1場所で三役返り咲きは可能だ。
人生の“台本”はきっちり描いている。28歳までに結婚して、子供が相撲を分かる年齢まで現役でいること。「奥さんはミュージカル好きがいいですね。子供は相撲じゃなくてミュージカルがいいかな。草の役で」。26歳、新元号「令和」で主役候補の1人。“北勝富士劇場”の感動巨編に期待だ。(デイリースポーツ・荒木 司)