【スポーツ】ラグビー日本代表候補サバイバル 1/3が“落選”第一次ふるい落とし

 今秋のW杯を目指すラグビー日本代表候補の特別チーム「ウルフパック」は、オーストラリアのウェスタン・フォースと4月27日に対戦。51-38で快勝した。素質を存分に発揮したプレーでアピールした1人が、SO山沢拓也(パナソニック)だった。

 交代出場直後に自陣10メートルライン付近での相手スクラム。そのこぼれ球に反応して大きく蹴り出すと、持ち前のスピードを発揮。そのボールに自ら追いつくと、サッカーのドリブルのように2タッチ。約60メートルを走りきって、インゴールでボールを抑えた。

 「流れがよくなかったので、インパクトのあるプレーをしたかった」。山沢は強烈なアピールとなったプレーを、そう振り返りながら、「その後のゲームの動かし方は10番としてはまだまだ足りないと思います」と課題も口にした。

 W杯の登録メンバーは31人。それに対して、現段階で日本代表候補は、資格取得見込みの外国人選手も含めて約60人いる。メンバーはウルフパックと、スーパーラグビーに参戦するサンウルブズ出場組の2チームに分けて、両チームを行き来させながら、それぞれの場で強化を進めている。

 今後、ウルフパックは5月にオーストラリアで2試合、サンウルブズは6月1日まで計4試合を行う。その後、第4次日本代表候補を決定。6月中旬から宮崎で強化合宿に入る。日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「宮崎合宿は35~40人。各ポジションでケガが出たらバックアップできるくらいの層の厚さを持ちたい」と説明している。60人から3分の1以上をふるい落として合宿に臨む意向だ。

 メンバー選考について、ジョセフHCはウェスタン・フォース戦前に持論を語っている。「すべてのポジションで争いが激化しているので、(試合の)メンバーに入っていない選手は、ケガなのか、もしくはプレッシャーがかかっている立場にあるということです」。言い換えれば試合出場時間は期待度に比例するというもの。出場時間の少ない選手は故障でなければ厳しい立ち位置にいる、ということを意味する。

 かつて、日本代表のフランカー、リーチ・マイケル主将は山沢について話していた。「ポテンシャルはすごい。世界はまだ山沢という選手を知らない。秘密兵器になるかもしれない」。そんな逸材も、サバイバルの最中にいる狭き門。日本代表として、W杯の舞台に立つ。そのための第一関門突破へ、出場可能な試合は最大4試合程度。限られた実戦の場で、それぞれが最大限のプレーでアピールする。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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