【芸能】テレ東イズムは会見にも!予算なくとも知恵とアイデア
「予算がない」と自虐的に公言しながら、アイデア勝負で人気番組を生み出しているテレビ東京。実はクール毎に行われる制作発表も変わり種が多く、あの手この手で「くすっ」と笑わせようと仕掛けを用意している。宣伝担当者いわく「スベってもいいから何かやろう」。会見にも“テレ東イズム”が染みこんでいる。
4月16日に行われたドラマ「執事 西園寺の名推理2」(金曜、後8・00)の会見には、イチゴビュッフェが付いていた。完璧人間の執事が、奥様の願いにスーパースキルで応え、事件を解決していく作品。奥様の要望という設定で会見冒頭に大量のイチゴが運ばれ、報道陣に振る舞われた。執事役の上川隆也が女性記者にイチゴをサーブする一幕もあり、見ていて「テレ東らしい制作発表だなぁ」と、しみじみ感じた。
他局の制作発表は、質疑応答形式のベーシックな会見やファンを招いての舞台あいさつが主流。ところがどっこい、テレ東はプラスαの要素をぶち込んでくることが多い。
過去には、担当プロデューサーがスティーブ・ジョブズに扮して作品をプレゼン(18年4月クール『ヘッドハンター』、主演・江口洋介)したり、主演俳優が役になりきって企業の社長風にあいさつ(18年7月クール『ラストチャンス』、主演・仲村トオル)したことも。
ドラマの宣伝チーフによると、会見に向けて4~5人でネタ会議を繰り返し「派手なことをしたいけど、お金がないので、お金をかけずに派手なことができないか千本ノックのようにアイデアを出し合う」ところからスタート。根底にあるのは「スベってもいいから何かしようの発想」だという。奇をてらうのが目的ではなく「一枚の写真でバシッと伝わるようなインパクトのある画作りを心がけています」と明かす。
イチゴビュッフェ会見に至るまでには、ドラマの第一話が「イリュージョン」をテーマにしていたことから「マジックができないか?」「ハトを飛ばす?」「人体浮遊?」などのプランも出たという。最終的には会見テーマを“執事”に寄せて、季節感のあるイチゴに到達。あくまでも作品イメージを守りながら、どこまで攻められるかが勝負となる。
4月18日には、バーチャルYouTuberによる史上初のドラマ「四月一日(わたぬき)さん家の」(金曜深夜0・52)の制作発表が行われ、スクリーンに映し出された3Dキャラクターたちが会見した。生身の人間はゼロ。写真撮影の際には「それ必要ある?」といった報道陣の空気を察した司会が「これはリアルな普通の記者会見と思ってもらって大丈夫です。前に出てきてください。…あ、みなさん、戸惑ってますね」と苦笑いし、会場全体がシュールな雰囲気に包まれた。
番組のイメージをしっかりと会見に反映させ、不思議な世界観を作り上げるのが真骨頂。毎回、会見でも“テレ東イズム”を堪能させてもらっている。(デイリースポーツ・古宮正崇)