【野球】巨人・増田大がとび職で学んだ野球の極意とは…育成出身内野手で球団初の先発
プロ入り前は、とび職人として生計を立てていた時期もある巨人の増田大輝内野手(25)が、5日の広島戦(マツダ)で育成ドラフト出身内野手として球団史上初のスタメン出場を果たした。4月19日に1軍プロ初昇格後、初安打初タイムリーをマークし、守備でも俊敏な動きでゴロをさばく。とび職で学んだ野球の極意とは。
異色の経歴の持ち主が、将来の巨人軍を背負う可能性を秘めている。抜群の反射神経、身のこなしで2軍出場25試合では文句なしの成績を残した。打率・351、22四球で出塁率5割の好成績を残し、4月19日にプロ初昇格を果たした。万能内野手は軽快に二塁、三塁、遊撃をこなす。その姿に原監督も「気風がいいね。守りもうまいし」と評価している。
類いまれな俊敏性は前職で培われたものだった。近大に入学したが環境になじめず、20歳で中退。「草野球をしていたので体がなまらないように」と郷里の徳島に戻り、とび職の世界に飛び込んだ。
一日の就業時間は早朝8時から午後5時まで。高速道路や陸橋、20階建ての高層ビルの建設にも携わった。高い足場で資材を運ぶ作業は命がけだった。
「落ちたら死にますから。ケガをしないようにと、厳しかった。怒られることもありましたけど、メンタルは鍛えられましたね」。高所での骨組みの組み立て作業は気を抜けば命を落とす。長時間作業で集中力の持続性を養えた。
肉体面でも後々、野球に生きたことがあったと振り返る。資材で取り囲まれた狭い足場で30キロの鉄の塊を運ぶ作業も行った。「橋を作るときだったら、重たい塊をひたすら積み上げて、低い姿勢でいろんな動きをして。重たかったです」。そんな日々を半年間、経験。鍛えられた足腰と集中力で13年に四国アイランドリーグの入団テストに合格した。
とび職人時代は日給8000円。今季は年俸500万円と1軍登録日数分の最低保障年俸1500万円の日割り分が支給される。「汗水たらして働いて稼ぐのも、気持ちいいですけど、今は好きなことをしてお金をもらっているので頑張らないと」。かけがえのない経験を自信にして、1軍で結果を残す。(デイリースポーツ・水足丈夫)