【サッカー】20年ぶり南米選手権で狙う、東京世代の劇的変化

 サッカーの南米選手権が6月14日からブラジルで行われる。1916年に第1回大会が行われた、サッカー界で“最古の大陸戦選手権”には、日本代表も1999年以来、2度目となる参加を予定。強豪ぞろいの南米勢が雌雄を決する大舞台には、東京五輪世代の若手を中心とするチームが挑む見込み。南米勢から学ぶべき要素は多い大会だが、日本にとっては20年ぶりの参加が決まった経緯、そして参戦の意味について考えたい。

 強豪国同士の対戦が続き、ときに「W杯よりもレベルが高い」と評される欧州選手権を洗練された戦術を戦わせる舞台とたとえるならば、南米選手権はさながら「国の威信をかけたガチンコのケンカ」という表現が適切だろうか。そんな舞台に、東京五輪で金メダル獲得を目指す若武者たちが挑戦する。

 14年のブラジルW杯でも証明されたように、南米勢が見せる“ホーム”での強さは折り紙付き。個人技にたけながら、総じて強く激しくしたたかなスタイルには、森保監督も「駆け引きなども含め、日本サッカー界として学ぶところは大きい」と話す。そんな南米選手権には11年、15年の大会も招待されながら参戦できず。今回、1999年大会以来、20年ぶり2度目となる出場が実現したのは、森保監督がA代表と五輪代表を兼任していることが大きかった。

 南米選手権参加のハードルは高い。準優勝だった1月のアジア杯と同じ大陸選手権ながら、南米連盟の非加盟国である日本の選手たちには所属クラブ側に代表活動への派遣義務が発生しない。大会期間中も日本国内のリーグ戦は中断されず、さらに同時期のトゥーロン国際、U-20W杯などの国際大会への出場も決まっている。欧州主要リーグはオフシーズンとなるが、派遣義務がないためにシーズン後の選手を休ませることや、負傷防止を目的に招集要請に応じないクラブも多い。

 11年大会に招待を受けた際には、一時は参戦を表明も同年3月11日の東日本大震災を受け、国内リーグの日程が厳しくなったため、苦渋の決断で断念。15年大会も国内リーグの日程面や、満足いくチームが編成できないことで辞退している。

 今回も年始にアジア杯があり、国内リーグも中断されないなど、苦しい状況に変わりはないが、解決策となったのが森保監督が兼任する東京五輪に出場する22歳以下の若い世代だった。日本協会の関塚委員長は、10日の技術委員会後に南米選手権のチーム編成について「海外の選手と来年の東京五輪、代表の強化につながるであろう選手を中心に編成していきたい」と明言。五輪世代以外についても、本大会でのオーバーエージ枠での選出への適性チェックも兼ねることができる。

 世界のサッカー界を見れば、五輪世代にあたる22歳以下は若手ではないという考え方もできる。ただ一方で、わずかな期間でも劇的な成長を遂げる可能性を秘めている年代である。1次リーグで対戦するのは2連覇中のチリ、歴代最多優勝回数のウルグアイ、そして前回大会で8強入りしたエクアドル。国内のリーグ戦や、同世代同士での他国との対戦、さらには日本国内での親善試合では味わえない舞台が、ブラジルでの南米選手権では待っている。選手個人や、日本サッカーがさらに上のレベルへと到達するためのきっかけとなれば、それは得がたい財産となる。(デイリースポーツ・松落大樹)

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