【スポーツ】黄金世代の女子大生プロ・河本結の強さの秘密とは?
女子ゴルフの新鋭・河本結(20)=フリー=が快進撃を続けている。昨季下部のステップアップツアーで4勝を挙げてレギュラーツアーの今季前半戦出場権をつかむと、開幕4戦目のアクサレディースで早々とツアー初優勝を達成。5月のほけんの窓口レディースからは6、2、3、3位と常に優勝争いに加わっている。
好調ぶりは前週サントリーレディースまでの主要スタッツが示している。賞金ランクは4225万9000円で6位、平均ストロークは71・1149で7位、平均パット数(パーオンしたホール)は1・7794で5位。目を引くのはバーディー数(164)、イーグル数(5)、60台のラウンド数(17)でいずれも1位に君臨している。
ゴルファーの強さを支えるものとは何かを考えていくと、大ざっぱではあるが、体力、技術力、精神力、経験値の4要素になると思う。河本はプロテストに合格した昨季からトレーニング+体重増に取り組み、4日間大会でも耐えられる体、前週までのドライビングディスタンスで245・57ヤード(12位)の飛距離を手に入れた。
技術力は新進気鋭の指導者として売り出し中の目澤秀憲コーチに早くから師事し、理にかなったスイングを作り上げた。河本はグリーンを攻める場合、ピン位置、風向き、傾斜を考慮し、その都度ドロー、フェードを使い分けている。現在の女子プロで河本ほど見事に球筋を操る選手は数人しかいない。
メンタル面も強い。負けん気と根性は生来のものがあり、成功した場合でも反省点を探し、失敗は糧としてきた。中でも昨年12月の新人戦加賀電子カップでの番手ミスは生涯忘れないという。最終日に優勝争いを演じながら17番パー3で4Uで打つところを3Uで打ってしまい、奥のバンカーに入れて優勝争いから脱落した。河本はスコアカードを取り置かないが、その日のものだけは大事に保管している。二度と同じミスを犯さないよう肝に命じるために。
試合に臨む前の準備は尊敬するイチローから学んだ。同じルーティンをたどることで余計な感情の動きを抑えることができ、優勝争いの重圧からも解き放たれる。お気に入りは朝宿舎を出る前にクラシック音楽を聴くこと。心が穏やかになり、戦う準備が整う。メンタル面の静と動。その使い分けができるようになったことも安定したプレーにつながっている。
経験値については、主要黄金世代には共通することだが、アマチュア時代から複数のプロトーナメントに出場している選手が多く、プロの試合で物おじすることがない。河本もプロ転向した直後から、先輩プロに遠慮することなく目標を優勝に置いていた。今季は既に5回の優勝争いを経験し、さらなる勝負強さを身につけている。
ゴルフにおける将来の目標は米ツアーに進出し、全米女子オープンなどメジャー制覇だという。今季はまず賞金ランク5位以内、全英女子オープン出場などを超えるべきハードルに設定しており、着実にそこに近づいている。米ツアーでは既に同じ黄金世代の畑岡奈紗が活躍しているが、河本が追いつき追い越す日も、そんなに遠くはなさそうだ。