【スポーツ】元女王イ・ボミ復活の日は近い…一体何が変わった?
女子ゴルフの2015、16年賞金女王で17年以降スランプに悩んでいたイ・ボミ(30)=韓国=に完全復活の兆しが出てきた。先々週の資生堂アネッサレディースで17年以来のトップ10入りとなる5位に入ると、先週のニッポンハムレディースも8位。思考錯誤を繰り返してきた元女王の何が変わったのか。
そもそも不振の原因はドライバーショットの不調。全盛期は正確無比で飛距離も出ていたが、不振に悩み出してからは曲がるし、飛ばないし、揚げ句は、いい時に自分がどう打っていたのか分からないという負のスパイラルに陥っていた。
それが資生堂アネッサレディースのスタッツを見ると、4日間通算のフェアウエーキープ率は・785(56回中44回)と高い数字を記録。ドライビングディスタンスも2日目の平均は240・5ヤードだった。
ニッポンハムレディースはさらに良化した。4日間のフェアウエーキープ率は・857(56回中48回)。ドライビングディスタンスも初日の平均で242・5ヤードを記録している。
では、なぜドライバーショットが安定感を取り戻したのか。イ・ボミの話を総合すると、一番の要因はテークバックのイメージ改善にあるようだ。
「私はテークバックの時に手首が折れるクセがあります。それで始動の時に手首を折らないように注意しながら、体の回転に合わせて上げていくようにしました。手首の折れ方を意識していた時は、自分が気がつかないところで体の回転が浅くなっていたんですけど、体の回転に合わせて上げるようにしてからは、しっかりと肩が回るようになりました。そういうことが重なってドライバーがよくなったんだと思います。今はいい時のスイングとはまったく別のスイングですけど」
ゴルフは自信のスポーツでもある。曲がるからと怖がって振ればもっと曲がる。曲がらない自信が生まれれば思い切って振り切れる。振り切れば振り切るほど曲がらないし飛距離も出てくる。きっかけはテークバックのイメージひとつだったにしても、そういう小さな気づきで状態が大きく変わるのもゴルフ。今のイ・ボミにはそういういい意味の相乗効果が働いているように見える。
ニッポンハムレディースでは賞金250万円を獲得し、ツアー史上9人目の生涯獲得賞金8億円を突破した。久しぶりの明るいニュースも飛び出し、大勢のファンが待ち望む完全復活への流れが加速し始めた。優勝すれば17年CATレディース以来。“スマイルキャンディ”の心の底からの笑顔が待ち遠しい。(デイリースポーツ・松本一之)