【野球】広島・菊池保則、プロ入りへのきっかけつかんだ12年前の夏
第101回全国高校野球選手権大会が8月22日の決勝で幕を閉じる。令和最初の夏。今やブルペンに欠かせない存在となっている広島・菊池保則投手は茨城・常磐大高時代、甲子園出場こそならなかったが、プロ入りへの大きなきっかけとなった濃密な3年間を振り返った。
「プロになれるとは思ってなかったけど、(3年)夏に結果が出たからチャンスもできたかなと。最後の夏にいい投球ができて良かったなと思います。それも12年前だと思うと懐かしいですね」
最後の夏となった07年の茨城大会。常磐大高は順調に勝ち進み、菊池保は準々決勝・土浦日大戦で完封勝利。準決勝・東洋大牛久戦も「一番良かった。三振も取れたので。よく投げたなと思います」と16奪三振で1-0の完封勝利を挙げた。
決勝・常総学院戦は初回に自身の犠飛で先制したが、三回に逆転を許すと8失点を喫し敗戦。「決勝で力尽きました。四球もそれまで10個ぐらいしか出してなかったのに、決勝だけで10個出しましたね」。チームにとって初の甲子園出場が懸かった一戦だったがやり切った分「楽しかった」と悔いはない。
2年時に飛躍のきっかけがあった。秋季関東大会1回戦の成田(千葉)戦で現ロッテ・唐川と投げ合った。「すごいやつがいるなと。見たことのない球。1人しかヒットを打ってない。完敗です。手も足も出なかった」と衝撃を受けた。
試合も0-2で敗れたが、そのマウンドにヒントが転がっていたという。「唐川の(投球時の)歩幅がその時メチャクチャ広かった。(左足の)足跡が一足分ぐらい前にあった。どれだけ前なんだろうという印象があった」。自身も歩幅を6足分から6足半に広げてみると、制球力が増した。「そこからまた成長できたと思う。秋はがむしゃらに投げてたけど、夏は冷静に狙った球を投げられたかなと」。「高校ビッグ3」と呼ばれた投手の足跡が、菊池保のその後の野球人生を変えた。
プロ12年目。「こんなに長くやれるとは思ってなかったです。奇跡です」と笑うが、トレード加入した今季は救援陣の一角としてここまで自己最多の41試合に登板。チームに勝利を呼び込む投球も増えている。高校3年間で得た財産を礎に、プロの舞台で腕を振り続ける。(デイリースポーツ・田中 哲)