【野球】仲間の想像を上回った大船渡・佐々木 次は世界の舞台で驚かせる
投げるたびに周囲を驚かせる。侍ジャパン高校代表に選出された大船渡・佐々木朗希投手(3年)は26日の侍ジャパン大学代表との壮行試合に先発し、1回を無失点2奪三振。投げ込んだ直球はすべて150キロ超えと、2万8436人の観衆を沸かせた。
夢だった甲子園の地は踏めなかったが、その過程でも強烈なインパクトを残した。今夏の岩手大会、盛岡四との4回戦。194球の熱投で12回を投げ抜き、毎回の21奪三振。八回に公式戦では花巻東・大谷(現エンゼルス)に並ぶ160キロを計測。極めつけは打者として延長十二回に右翼へ決勝2ランを放ってみせた。
球史にも残るような激戦でファンはもちろん、ともにプレーした大船渡ナインの心も奪っていた。吉田昂生内野手(2年)は大台に乗った速球を遊撃から“体感”。「初めてです。感動しました」と目を輝かせていた。
木下大洋外野手(3年)はネクストバッターズサークルで佐々木の一発を目の当たりにした。「すごいんだなっていうだけですね。やっぱ、あいつはすごいんだなと思いました」としみじみ。佐々木から受けたハイタッチで腕を持っていかれそうになった痛みとともに、記憶に残るシーンとなった。
注目を浴び続ける佐々木に対し、当初チームメートの意識はフラットだった。印象的なのが6月末の和田吟太投手(3年)の言葉。「周りから見たらすごいんだと思うんですけど、いつもどんな風にトレーニングをしているとかわかっているので。(160キロを)投げて当然だろうとは思っています」。努力を知っているからこその感覚が、あの一戦を機に変わったように映った。
剛腕はファンの、対戦相手の、そして仲間の想像さえも超えてきた。次なる舞台は30日から開幕予定のU18W杯。右手中指にできた血豆の影響が心配される中で、「まだ世界一になったことがないので、世界一を取りたい」と力を込める。望みがかなうとき、佐々木が世界中の野球ファンを魅了しているにちがいない。(デイリースポーツ・佐藤敬久)