【野球】阪神「8勝、6ゲーム差」を埋めるカギ フロント&現場の考えは…
2019年の阪神は69勝68敗、6分けの3位でシーズンを終えた。昨季最下位からのAクラス入りは、「躍進」とも言えるだろう。
18日、矢野燿大監督(50)は、大阪・野田の電鉄本社で藤原崇起オーナー(67)に、シーズン終了の報告を行った。この席でも、球団のトップから「厳しい戦いを勝ちきった。よく頑張ってもらった。引き続き、来季も頑張ってほしい」と激励された。
シーズン終盤の6連勝、CSファーストS突破。劇的な戦いの連続は、確かに見るも者の胸を打った。揚塩健治球団社長(58)も「目指すべき野球の一端を見せてくれた」と評価する。
ただ、一方で現実的にはシーズン3位のチーム。首位・巨人とは「8勝、6ゲームの差」があった。ファイナルS敗退後、守護神の藤川球児投手(38)は、「まだ強いチームじゃない」と言った。球団社長も「力の差を感じた」と話す。矢野監督も、オーナー報告後の会見で「今のタイガースはまだ強くない」とキッパリ言い切った。その上で、だからこそ「伸びしろがある」とも強調した。
2020年シーズン。目指すのは15年をも遠ざかったリーグ優勝、日本一。それは電鉄本社、球団フロント、現場の総意である。では、「8勝、6ゲームの差」をどう埋めるか。大砲助っ人の補強を含めて、球団社長は「打てる手は打っていく」と全面支援を約束する。その上で、「外国人をはめたらそれでいいとか、簡単には思っていません」とも言った。
「長打力というだけじゃなく、ここという時の野球。力強い打線プラス、足も絡めた細かい野球。全ての面で力の差があった。足を生かした野球、緻密な野球というのは、まだ伸ばさないといけない部分がありますよね」
打点、得点はともにリーグワースト。一方、盗塁は昨季の77↓100の大台に達し、トップの数字を残した。課題は明白である。さらに、守備面では12球団ワーストの102失策。2000年以来、19年ぶりの屈辱でもあった。ここぞ1球をいかにして守り、ここぞの1点をいかにして生むか。守備力の改善、攻撃力のアップが「8勝、6ゲームの差」を埋めるカギを握る。
気付けば、2005年のリーグ優勝から、14年の歳月が過ぎた。これは1998年を最後に、優勝から遠ざかっているDeNAに次ぐ。さらに日本一となれば、1985年が最後である。「優勝から長く遠ざかっていますので、1年でも早く優勝をして、ファンの方に喜んでいただきたい。その気持ちは年々、強くなっています。今年、CSを経験したことで、さらにその思いを強く持っています」とは揚塩球団社長。昨季6位から3位の躍進を、来季につなげられるか。ホップ、ステップ、ジャンプにできるか。
指揮官は言う。「長所はさらに伸ばして、足りないところは補っていく。そんなキャンプにしたい。タイガースファンの方は、点を取るのが大好きだと思うので。来季は点を多く取る野球をしたいと思っています」。一朝一夕にはいかないだろう。ただ、課題は山積みだが、明白でもある。進化を誓う矢野阪神の2年目は、真価が問われるシーズンになる。(デイリースポーツ・田中政行)