【野球】T-岡田残留の裏にあった佐竹コーチのある提案
3年ぶりに最下位に終わったオリックス。野手は高知、投手は大阪の分離キャンプで巻き返しへ動き出している。そんな中、T-岡田はウインターリーグ参加のためプエルトリコへと旅立っていった。
FA権行使も視野にあったという今オフ。残留のきっかけとなったのは最終戦となった9月29日のソフトバンク戦に代打で登場した際の大歓声だった。
「まさか、あんな声援をもらえるとは思ってなかった。あれがなかったら今ごろどうなっていたかわからない」
実はあの日、2軍にいたT-岡田が緊急昇格を言われたのは試合の数時間前だった。練習前のコーチ会議で佐竹外野守備走塁コーチの提案がきっかけだった。
「岸田の引退試合ですからT-岡田を守らせてやってもらえませんか」
この提案に西村徳文監督らが快諾。急きょ、呼ばれることになったのだ。
T-岡田は「岸田さんの最後だったんで、プレゼントを買いに行こうかと思っていたところに電話が入って。ビックリしました。何にも準備してなかったです」と苦笑いで振り返る。
佐竹コーチの粋な計らいが、結果的にT-岡田の心を動かす結果となった。まさにファインプレーと言える。
佐竹コーチは「岸田とT-岡田は履正社の先輩後輩ですから。長く一緒にやってきてるし、最後は守りたいんじゃないかと思っただけです。あんな大歓声は想像してなかった。まだT-岡田に復活してほしいというファンのみなさんがたくさんいるということでしょうね」とクールに振り返る。
選手思いのコーチらしい行動だが「良かったのかどうかわかりません。オリックスに残ったことが良かったのかどうか。わかるのはこれからですから」と話した。
確かにそうだ。場内アナウンスの「ピンチヒッター、T-岡田」にわき起こった大歓声と拍手。感動的なシーンだったが、来季、その期待にT-岡田が応えられるか。それこそが大事だ。
球団の公式インスタグラムには見慣れないアテニエンセ・デ・マナティのユニホームに身を包んだT-岡田の姿があった。
「こっちは暑いしいろいろありますけど、とにかくプエルトリコで必死に頑張ります」
異国の地から送られてきたメッセージに復活に賭ける熱い思いが伝わった。
現地時間15日にプエルトリコは開幕を迎える。(デイリースポーツ・達野淳司)