【野球】元オリックス・野村貴仁氏が新たなチャレンジ!農業で奮闘する日々
オリックス、巨人、米大リーグ・ブルワーズなどで活躍した元投手の野村貴仁氏(50)が、2月から農業に挑戦している。16年には伸びたヒゲにヘルメット姿という風貌でインパクトを残し、格闘家への転向を発表するなど話題になったが、現在はサツマイモ作りに励んでいる。
場所は地元の高知市内。点在する4反の畑のうちの1つが、野村氏の担当するサツマイモ畑になっている。もちろん農業は初挑戦。最初はトウモロコシ、ジャガイモ、スイカも栽培したが、素人だけに失敗は数え切れない。「トウモロコシはカナブンに半分やられました。イノシシに食われた作物もある。最初のサツマイモは200本植えて180本を収穫できましたが、今回は14本しか成長しませんでした」と苦労を明かす。無農薬にこだわることもあり、昆虫や動物へ“提供”してしまうことも多い。
雑草と一緒に、苗を引き抜いてしまったこともある。「遊びじゃないですよ。僕は真剣にやっている」。畝づくりからマルチ張り、苗植えから収穫まで全て野村氏が手がけている。農業経験者の指導も受けながら、失敗から成功を目指す日々だ。
畑を所有しているのは昨年9月に設立し、高知を拠点に活動しているNPO法人“ぽぽろ”。野村氏が“社長”と呼んで慕う関係者(60)との出会いがきっかけとなった。たまたま自宅が近所という縁だった。「僕はNPOとは関係ないんですが“社長”の下で働かせてもらっている以上、微力ながら貢献しなければいけない」と恩義を感じている。
最初はゴミ屋敷と化した実家から自転車で通勤していたが、現在は“社長”の自宅に住み込みで働いている。サツマイモは年2回の収穫を目標に、将来的な販売先も具体的になってきている。来年以降は4反全部をサツマイモ畑にして、地元の小学生たちに苗植えからイモ掘りを体験してもらう計画もある。サツマイモに注力する理由は、高知県内が栽培に適した土地であること、収穫まで手間が掛からないこと。“社長”と慕われる関係者は「植えるとき、収穫するとき以外は、仮に野球教室を開催するとしてもできるでしょう。野村さんの生業(なりわい)になればと思っている」と話す。
また、11月に入って高知市内の繁華街でスポーツバー『野村の部屋』もオープンさせた。店内には現役時代に着用したブルワーズのユニホームなど野球関連グッズが所狭しと並ぶ。店のオーナーで友人の原寛さん(51)は「野村貴仁という“タレント”の店だから、貴仁の好きなようにやってもらえばいい。もし、店がゴミ屋敷になっても、それはそれでアリだと思う」と話す。しかし、実際には違っていた。店内は清潔に保たれている。「貴仁がマメに掃除している。本当はきれい好き」と意外な姿に驚く。
“社長”も野村氏の仕事ぶりを評価する。「大工の仕事を手伝ってもらうこともあるけど、野村さんは何でもコツコツと取り組むことができる。僕は現役当時の姿を知らなかったけど、いまは野村貴仁という人間のファンです」と話す。
最近の野村氏は、なぜか松田優作のセリフモノマネがマイブーム。「『はい!工藤探偵事務所!!』。どうですか?似てないですか?」。夕日に照らされた畑には、野村氏の明るい笑い声が響き渡っていた。(デイリースポーツ・岡浩司)