【野球】来季の阪神で守備がカギを握るデータ ゴロ率上位4位までが阪神投手
今季の阪神を振り返るにあたって、投手陣に着目すべき驚異的なデータがある。共同通信デジタル「TUBASA」でひもとくと、今季1000球以上を投げた12球団の投手で、「ゴロ率」の上位4人を実に阪神の投手が占めていた。
1位は岩田の66%(1259球)で、続く2位は青柳の64%(2292球)。3位にはガルシアの63%(1805球)が続き、4位は高橋遥人の61%(1913球)だ。ようやく5位に西武で2桁12勝(1敗)をマークしたニールが入ってくるが、同一球団で高いゴロ率を残す複数の投手がいたのは異例だ。
一般的にボールを低めに集めることができるムービング系の投手は自然とゴロ率が上がる。トップ3の岩田、青柳、ガルシアはボールを動かしながら打ち取る投球スタイルを確立している。高橋遥人は力強いストレートで相手打者を押し込み、鋭く沈むツーシームで打ち取る配球パターンが功を奏していた。
ゴロ率が高ければ高いほど、本塁打のリスクは減る。イコール失点のリスクも減ることになる。実際に今季のチーム投手成績で阪神の被本塁打数115本はリーグ最少、防御率3・46はリーグトップだ。しかし、トップ4に入った投手はいずれも勝ち星が伸び悩んだ。その背景に見え隠れするのがディフェンスの破綻だ。
今季のチーム失策数はリーグワーストの102。特に内野手のエラーが目立った。これだけゴロを打たせられる投手がいながら、その特長を生かすことができなかった現実。エラーで許した走者は自責点から除かれることを考えると、失点から自責点を引いた値は「70」。これは広島の「77」に次ぐリーグ2位の数値で、いかにエラーがらみの失点が多かったかを示している。
デイリースポーツ評論家の岡田彰布氏は「来年、優勝するために最も手っ取り早い策は投手力を含めた守備をしっかりすること。守備を軽視しなければ、優勝を争える戦力はあると思うよ」と隔週企画の「岡田辞典」で語っている。猛打がクローズアップされがちな1985年の日本一についても、吉田義男監督のもと「守備からリズムを作っていった」と当時のメンバーは口をそろえる。
広い甲子園を本拠地とする阪神。投手陣のゴロ率の高さをディフェンスで支えることができれば-。優勝した巨人との8勝差、6ゲーム差を縮める近道になるかもしれない。(デイリースポーツ・記録係)