【芸能】堂本光一 “世界の王”と共通する矜持 プロ魂と譲れない美学

 KinKi Kids・堂本光一(41)の主演舞台「Endless SHOCK」が、東京・帝国劇場で4日に開幕した。00年の初演から、今年で上演20周年。ミュージカル界に輝く偉業だが、そのスピリットには、プロ野球界で大記録を打ち立てたレジェンドに相通じるものを感じる。

 「SHOCK」の通算公演は、4日で1732回を数えた。12年に死去した女優の森光子さんが生前に舞台「放浪記」で記録した通算2017公演の最多単独主演に次ぐ、歴代2位の偉大な数字だ。

 とはいえ、光一本人は、支えてくれたファンや周囲のスタッフへのありがたさを口にしながらも、「20周年」という節目に対し、そこまでの執着は示さない。それはなぜか。光一には、譲れない“美学”があるからだ。

 メモリアルイヤーを迎えるにあたり、こんなことを話していたのが印象に残っている。「もちろん、20年ということで、感謝の気持ちを込めて、というのはありますよ。でも、幕が上がれば、演者やお客さんと一緒に、同じ旅に出る。それは1公演1公演、変わりない」。何公演目であろうと、何周年であろうと、劇場に足を運び、観に来てくれる人にとっては、かけがえのない1ステージだ。その1幕、1幕に常にベストを尽くし続けてきた、その積み重ねが、20年という歴史を作ってきたのだ。

 そんな光一の哲学に触れて、ふと思い出した。記者はかつてプロ野球取材を15年ほど担当していたが、その中で折に触れ耳にしたフレーズがある。「選手は毎日グラウンドで試合をしているが、来てくれるお客さんにとっては、その1試合しか来られない人もいる。だからその人のために頑張らないといけないんだ」。通算868本塁打の世界記録を樹立した王貞治氏(79)の言葉であり、王氏が今なお、このスピリットを現役選手たちに説いて聞かせているのは有名な話だった。そんな「世界の王」の矜持は、光一の持つプロフェッショナルの魂と、どこか通ずるような気がした。エンターテイメントとスポーツ。役者とアスリート。フィールドこそ違えど、第一線で輝き、その道を究める者たちのメンタリティーには、やはり共通するものがあるのだと納得させられた。

 プロ野球でいえば、光一の偉業は「20年連続フルイニング出場」といった表現になるだろうか。「SHOCK」の長い歩みの中には、様々なアクシデントもあった。時には大腿部を筋断裂し、またある時は足首の靱帯を損傷し、満身創痍になりながらも、チケットを握りしめ楽しみに待つ観客のため、当然のように舞台に立ち続けた。昨年7月に亡くなったジャニー喜多川前社長の代名詞でもあり、この作品のテーマでもある「Show must go on(何があってもショーを続けなければならない)」は、光一の骨の髄まで染みついている。

 3月30日の夜の部で、通算1800公演を迎える。刻まれる数字を通過点に、「SHOCK」は光一の生き様であり続ける。

 (デイリースポーツ・福岡香奈)

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