【野球】“バース2世”と期待の阪神・ボーア その実力は?ファンの傷はいまも癒えず

 阪神春季キャンプの13日のシート打撃で、懐かしい助っ人の名前を聞いた。バックネット裏の席で見ていると後ろから「あっ、ディアーや」というファンの声が聞こえてきた。打席はジャスティン・ボーア。“バース2世”と期待される新助っ人だが、ファンは実力に半信半疑のようだ。

 ディアーと言えばメジャー通算226本塁打の実績を引っさげて1994年に来日した推定年俸2億7000万の大物助っ人だ。キャンプ地・安芸市営球場でのフリー打撃では柵越えを連発。「ディアーネット」が設置されたのはあまりに有名だが、シーズンではサッパリだった。弱点の外角変化球に苦しみ、三振を量産。70試合で打率・151、8本塁打に終わり、日本を去った。四半世紀を経ても、ファンの傷は癒えていないようだ。

 ディアーだけではない。2001年のクルーズもオープン戦では絶好調。ボーアと同じく“バースの再来”と言われたが、シーズンでは70試合で14本塁打にとどまった。最近では18年のロサリオが75試合で8本塁打と期待を大きく裏切った。

 ある他球団のスコアラーはボーアについて「3割40本打つかもしれないですね」と警戒する一方で、「打率1割台の可能性もありますよ」と声を潜める。助っ人成功の鍵は対応力と言われる。13日のシート打撃では内角直球を捉え、右翼席へ豪快な一発。スタンドも歓喜に沸いたが、実戦デビューした15日・広島戦は2打数無安打、翌16日・楽天戦も2打数無安打と待望の快音は聞かれなかった。

 チームの命運を握る助っ人は果たして内角高めの速球や、左投手は打てるのか-。現時点では「4番・一塁」の最有力。キャンプ、オープン戦に入っても、オールドファンの心配は続きそうだ。

(デイリースポーツ・杉原史恭)

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