【野球】投げ込みはもういらない?オリックス・平井コーチ「勝てるならどんなやり方でもいい」
春季キャンプといえば、野手なら特打や特守、投手なら投げ込みが恒例だった。が、オリックスキャンプでは“キャンプ名物”が消えた。1日で100球を超える投球数を記録する投手もわずか。昨季のパ・リーグは規定投球回数到達者はわずか6人。投げ込み不要は時代の流れなのか、探ってみた。
宮崎キャンプ打ち上げの27日、山岡泰輔投手はブルペンで28球を投げたところで投球練習を終えた。今キャンプでの投球数を聞けば「300はいってない。1日最高でも80球くらいかな」と話した。十年前なら『1日300球、キャンプトータル3000球』、『投げ込み王』なんて見出しはこの時期の風物詩でもあった。時代は変わったのだろうか-。
投げ込みの必要性について山岡は「そんなに必要だとは思わない。1年目も1500球ノルマと言われたけど700球くらい。去年も500球はいってない」と話す。それでも入団以来、先発ローテを守ってきた。
投手陣を預かる平井正史投手コーチは衝撃的な話を明かす。
「投手たちに“何球から投げ込みだ?”って聞いたら“100球からです”って言うんです。僕らの時代は100球からが練習でしたけどね」
苦笑する平井コーチだが、彼らにノルマは課していないという。
「こちらから投げ込めと言ったことはない。高山ヘッドコーチとも話をして、勝てるならどんなやり方でもいいという方針です」
2軍も投げ込みは強要しない。むしろブルペンを「ショーケース」と位置づけている。清武のブルペンは10レーンあり、1、2軍が一斉に投げる。2軍の投手にとって1軍首脳陣も見ているそこは鍛錬ではなく、アピールの場というわけだ。
投球数は少ないが練習をしないわけではない。遠投や、傾斜を使ったネットスロー、シャドーピッチングなど個人でメニューに工夫を凝らしている。
山本由伸投手は「キャンプトータルで250球くらい。計画通りです。オープン戦とか試合の中で肩を作っていく。キャンプでバテたら意味がないですから」ときっぱりと言い切る。
山岡、山本とも昨季パで6人しかいなかった規定投球回数到達者。『投げ込み』という練習法は消えていく運命なのかも知れないと感じた2020年のキャンプだった。(デイリースポーツ・達野淳司)