【野球】ロッテ移籍の鳥谷から感じた心意気と強い決意
昨季限りで阪神を退団し、今年3月に入ってようやくロッテ移籍が決まった鳥谷敬内野手(38)。約1カ月間の春季キャンプにも参加せず、無所属の状況でも練習をしっかりと行い、準備を整えてきた。
数々の歴史を彩ってきた“虎のレジェンド”。新天地でゼロからスタートする、との決意は固い。「チームが変わるということは環境が変わるということ。野球選手としてやれることは決まっている。自分のできることをやっていくだけです」。プロ17年目の今季。再スタートへの決意は新背番号00以外にも込められていた。
ファーストミットを発注した。阪神時代は“本職”の遊撃に加え二塁や三塁を守ったことはあったが、一塁は入ったことがない。井口監督は期待を込めて「内野全部、守ってもらいたいと思っています」と語ってきた。
鳥谷としては、その思いに応えたいのだろう。現在、2軍で調整中の本人は「当然、指示されたところでやるのが今の自分の仕事」と言い切る。ここまでの2軍練習試合では遊撃、三塁、二塁に入り、複数ポジションをこなしてきた。
レギュラーを狙い、「ポジションに関しては、現状は空いたところに入ってチャンスをつかむ方法しかない。どのポジションでもいけるように、しっかり準備したい」。その言葉通り、柔軟な姿勢で臨んでいる。
「シーズン始まるまでにどこもなければ引退」と決意は固めていた。なかなか移籍先が決まらず、悩んだこともあっただろう。それでも阪神の選手やファンに勇気づけられ、支えられた。「たくさんの方のおかげで、この瞬間まで待つという選択ができました。たくさんの関係した方々にこのチャンスを生かして、恩返しできたらと思います」と熱い思いを語った。
周囲への感謝は決して忘れない。そしてチャンスを与えてくれたロッテに恩返しする-。複数ポジションを守れるようにするとの意気込み。それは鳥谷ならではの“心意気”なのだと感じた。(デイリースポーツ・伊藤玄門)