【芸能】映画の予告映像 名前を叫ぶシーンで終わることが多い理由
どの映画を見るか、決め手は何だろうか。出演者?ストーリー?あるいは、たまたま見た映画の予告で「面白そう!」と映画館に駆け込む人も多いだろう。その予告映像の締め方にある“法則”があることに気づいているだろうか。
記者は先日、映画を見るために映画館を訪れた。本編の前には公開を控える映画の予告などが流れ、映画「弥生、三月-君を愛した30年-」(公開中)の予告や、映画「糸」(4月24日公開)の予告が映された。この2本の予告。記者は映像の締め方が同じ作りになっていることに気づいた。
運命に翻弄(ほんろう)されながらお互いを思い続けた男女の、30年間の3月だけを切り取った「弥生-」。締めは主人公・波瑠(28)演じる「弥生」の名前を、弥生を思い続ける男を演じた成田凌(26)が「やよいー!」と叫ぶシーンで終わっている。
一方の「糸」は、中島みゆきの名曲「糸」をモチーフにした男女の壮大な愛を描く物語。同作の予告も、小松菜奈(24)演じる「葵(あおい)」の名前を、W主演の菅田将暉(27)が「あおいー!」と叫ぶというシーンで終わっていた。
ヒロインの名前を叫んで終わる予告は、振り返ると山のようにある。何の違和感もなく見ていたが、考えてみれば「印象に残る」ことは確かだ。
「弥生-」の映画関係者は「まず、この作品に関してはタイトルと役の名前を印象づけるため。あとは思い合う2人が一生懸命に生きている姿を、叫ぶシーンで伝えたかった」と制作の意図を明かす。
また「恋愛映画の場合、思い合う男女2人の人生をエモーショナルに伝えるために『叫ぶカット』と『走るカット』を予告の最後に入れることで印象に残りやすい」と語った。
2004年公開の大ヒット映画「世界の中心で、愛をさけぶ」では、森山未來(35)が「助けてください!」と叫ぶ“名シーン”が予告の締めに使われた。この映画関係者によれば、その頃から予告の最後に名シーンを使う事が多くなったという。
「名シーンというのは“必死”なシーンが多い。普段、相手の名前を叫ぶ事なんてそうないことなので、相手の名前を呼ぶシーンはよりエモーショナルに印象に残りやすいんです」(同映画関係者)
新型コロナウイルスの影響で劇場から遠ざかっている人も多く、公開延期が余儀なくされた映画もある。この機会に多くの予告映像に触れ、次に見る映画を検討するのも良いかもしれない。(デイリースポーツ・瀬古千絵)