【野球】無観客か中止か 夏の大会開催へ各都道府県高野連の不安要素

 新型コロナウイルス感染拡大が続く中で日本高野連・小倉好正事務局長は「あらゆる状況を想定して、協議・検討を行う予定です」と、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕予定・甲子園)と各都道府県大会の無観客開催も否定しなかった。

 結果的に史上初の中止となった今春センバツでも一度は準備を進めた無観客での大会運営。ただ、実現にはさまざまな問題が浮上してくる。実際に地方大会を主催する各都道府県高野連にとっては不安が隠せない状況だ。

 真っ先に危惧されるのが各大会の運営上で必要となるコストだ。日本高野連を含めて各都道府県高野連の収入の大部分を占めるのが入場料。無観客となればこれがなくなることを意味し、運営費には多大な影響が及ぶ。

 関東地方のある高野連関係者は「(無観客で)できるところとできないところがある」と述べたうえで、入場料がなければ夏の大会開催へ相当な痛手となるという見解を持つ。仮に日本高野連が各都道府県を支援したとしても、解決策とはならないとも示唆。日本高野連自体の財政が窮迫してしまう可能性にも目を向けた。

 感染予防策も大きな課題となる。1試合ごと球場内の消毒作業をするとなると、グラウンド整備だけで済む場合よりも長めにインターバルの時間は必要。1日に各球場でこなせる試合数は減る恐れがあり、ただでさえ夏の公式戦で問題視されている過密日程につながりかねない。

 甲子園のみで行われる全国大会とは違い、各地方大会は複数球場が会場になる。膨大な試合数の中、消毒液やマスクなどの物資も各地方で十分に準備できるのか。東北のある高野連関係者は「一球場だけの話ではないので…」と頭を悩ませる。

 各地方大会では一見軽視されがちなリスクも拭い切れない。北海道や岩手など広域な地域では、学校の所在地と試合会場によってはチームが宿泊するケースも出てくる。バス移動といった集団行動におけるウイルス対策は必須だ。

 今春から始まるはずだった球数制限と申告敬遠の対応も、春季大会中止で夏での“ぶつっけ本番”となった。新制度へ向けて日本高野連が各都道府県高野連に呼びかけた電子スコアの導入も遅れている地域がある。九州のある高野連関係者は「システムを使える人員を確保できていない。夏には間に合わないと思う」と戸惑いを隠せない。

 政府による緊急事態宣言期間が延長の方向となり、5月いっぱいまで休校の地域も出てきた。夏の甲子園の開催可否は20日の第2回運営委員会で協議される予定。多かったのはこの結果を夏への判断材料にしたいという各地方の高野連関係者の声。6月下旬から全国最速でスタート予定の沖縄大会が迫る中、見通しはたっていない。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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