【野球】自粛生活で大谷を思う 日本ハム時代に5年間外出許可制も“噂”すら聞かず
緊急非常事態宣言が発令されて、外出を自粛する日々が続いている。おじさん記者でも精神衛生上よくないと思うこともあるが、ここは我慢の時。プロ野球界の若い選手も、ストレスがたまっていないかと気になってしまう日々である。それでもあのメジャーリーガーは制限された中でも黙々と、自分を磨き続けていることだろうと思う。エンゼルスの大谷翔平だ。
日本ハム入団から退団するまでの5年間、栗山監督のもとで外出許可制がしかれていた。信頼はされていても二刀流選手として、練習に集中して打ち込ませるためで、外出の際は指揮官に誰とどこへ行くか逐一、許可をとるものだった。今の活躍に至ることを考えると正しい選択だったといえるが、当人は管理されている意識が全くなく苦痛でもなかったのが驚きだった。若いのに遠征先では球場と宿舎の往復で十分とばかりに、夜遅くまで飲んでいたという話も聞いたこともないから恐れ入った。
どんな制限された状況でもやれることをやるということが大谷の流儀だろう。日本ハム時代のインタビューでは、記者に「自分がピークを迎えた時にどういう選手になっているか。そこに向けたトレーニングをしている」と話したことを思い出す。野球につながることはグラウンド外でも吸収し、読書にふけることも多かった。黒田博樹の「クオリティ・ピッチング」に、栗山英樹監督の「未徹在」、プロテニスプレーヤー、ジョコビッチの「生まれ変わる食事」と野球に関係する本は枚挙にいとまがない。気になった一文は専用の万年筆で線をひき、読み返す。野球の成長につながることへの“学習”は喜んでやる。
昨年に手術した左膝も経過も良好と聞く。メジャーリーグもコロナ禍で開幕延期が伸びているが、投手と、戦力としての野手で同時出場する「リアル二刀流」が解禁される。ここまで濃密な個人練習をしていることだろう。投打で躍動する姿が今から待ち遠しい。(デイリースポーツ・水足丈夫)