【野球】巨人 中島が抱く2000本安打への思い「約束なんでね」
2018年5月3日、オリックスは京セラドーム大阪で西武に0-8で敗れた。オリックスからすれば何でもない試合だった。そんな日でも意外なエピソードに触れたりする。
この試合、4番・三塁でスタメン出場した中島宏之内野手(現巨人)は七回2死、十亀から右前打を放った。得点にも絡まなかった安打だったが、これが中島にとって通算1700本目の安打だった。
試合後はそんな話になった。
「あと300?えっ!?そうなんですか。知らんかった。ホンマやったらもう達成しとかなアカン数字やけどね」
自虐気味に笑った。そう、あの2年がなければ2000安打はたぶん、達成されていただろう。
中島は2013、14年にメジャー挑戦したが、故障などもあり力を発揮することはできなかった。全盛期の2年。野球界で“たられば”はタブーではあるが、もしも日本でプレーしていたならと想像してしまう。
そのときの中島はまったく悲観するところはなかった。
「2000本は絶対、達成せなアカンと思ってます。約束なんでね。西武ではファームにいたころから球団の人にずっと言われていたから。“お前が目指すのは1軍じゃない。2000本だから”って。(当時のコーチ)土井(正博)さんとも約束したし」
中島は2000年のドラフト5位で県立伊丹北高校から西武に入団した。高卒の下位入団の選手にそこまでの期待をする。西武というチームのスゴさを見た気がした。
口べたなところはあったが、こちらの取材にはいつも立ち止まって丁寧に受け答えをするナイスガイ。チームメートからも報道陣からもナカジと慕われる存在だった。
残念ながら大記録達成の瞬間を見届けることはできなかった。中島は2018年オフに自ら自由契約を申し込み巨人へと移籍していった。出場機会を求めての決断だった。
昨季の安打はわずか8本。ただ、6月19日の古巣オリックスとの交流戦で代打本塁打を放った。意地を見た打席だった。
2000安打まで残り233本。37歳の中島には厳しい数字となってきた。それでも約束を果たすためナカジならやってくれそうな気がする。(デイリースポーツ・達野淳司)